エルダー2024年5月号
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―さまざまな種類のアシストスーツが、少しずつ普及してきました。貴協会の概要とともに、あらためてアシストスーツの機能について教えてください。―飯田さんは、協会の代表理事を務める一方で、アルケリス株式会社の取締役COOでもあります。貴社では、どんなタイプのスーツを扱っているのでしょうか。―医師からの評判はどうでしたか。種類が豊富なアシストスーツ非電力外骨格タイプ、サポータータイプが主流に飯田 アシストスーツ協会は、2022(令和4)年に、元々懇意にしていた4社による任意団体として設立し、その後に加わったメーカーを含む計9社が参画して、2023年7月に一般社団法人化しました。「アシストスーツ」と聞くと、モーターを搭載したスーツを着用し、人力を超えたパワーを生み出すもの、というイメージを持っている方が少なくないかもしれませんが、そのタイプの製品をつくっている会社は、当協会には1社もありません。現在は、外骨格で足や腰、腕を支え、身体の負荷を軽減するタイプのスーツが主流です。そのほか、素材の反発力や収縮力を活かしたサポータータイプのスーツもあり、さまざまな業界で使われています。例えば、果樹栽培や電気工事など、上向き作業において肩や腰の負担を軽減する「上腕保持型」、重い荷物の運搬や上げ下げなどの作業での腰の負担を軽減する「腰部補助型」、検査や組立てなどの立ち仕事での足や腰の負担を軽減する「立位保持型」など、用途や姿勢に応じて、さまざまなタイプへと進化を遂げています。飯田 ケリス」を開発・販売しています。開発のきっかけはある医師からの声でした。「立ちっぱなしで長時間手術をすると、手術終了後も疲労感が残り、休みの日にはマッサージに通っている。この負担を軽減できないか」という相談があったのです。医師にとって最大の敵は、実は腰痛であり、腰痛を抱えて辞める医当社では、立位保持型のスーツ「アル師も多いそうです。最近は若手の医師も減ってきており、むずかしい手術は経験豊富な50ていたことから、医療の現場を守るために、2014(平成26)年に開発プロジェクトがスタートしました。オフィス家具や自動車部品の金型製作を行っている中小企業「株式会社ニットー」が中心となり、トライアルアンドエラーを14回くり返し、2018年にようやく販売にこぎつけました※。い会社なので大企業のように試作機を多くの人に試してもらう資金力もありません。そこで、学会や展示会に出展し、参加者に製品を試してもらいながら開発を進めることで、多くの人から意見やアイデアを募ると同時にプロモーション戦略としても展開しました。一方で、立ち仕事で疲れるのは医師だけにかぎったことではなく、工場などの製造現場で立って作業をしている人も多いですから、ターゲットを広げていくことも視野に入れて開発を進めました。飯田 ケリスがなかったら手術はしないよ」とまで〜60代の医師に頼らざるを得ない状況となっただ、医療分野は未知の領域ですし、小さ脊椎関係の手術で高名な先生は「アル2024.52※ アルケリス株式会社は、「アルケリス」の企画・開発・販売を行う会社として2020年に設立一般社団法人アシストスーツ協会 代表理事飯田成晃さん 

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