エルダー2024年5月号
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しい時間を過ごしているような気がします。私の仕事は当社に登録された求職者の方と連絡を取りあい、最終的には面談をして、その人のスキルを参考にしながらマッチしそうな求人があればご紹介するというものです。面談後に話が進めばお客さまとの顔あわせや現場の確認に出かけることもあります。求職者の方とお客さまがうまくマッチングできたときは本当にうれしく、人と人をつなぐ仕事に出会えたことに感謝しています。当社のシニア人材派遣は、創業以来、ビル設備管理や建築施工管理などのエンジニアが主体ですが、最近は事務系の方も登録されるようになりました。求職者の方との面談では、一方的にアドバイスするような話し方はしないように気をつけています。みなさん、それぞれスキルを身につけ、それぞれの場所で活躍してきた方が多いので、こちらからお話を聞かせていただくという謙虚な気持ちを忘れないようにしています。私も求職者と近い年齢ですから気楽に話していただけると思っています。また、前職で10年近く人事や採用の管理部門で経験したことが、いま大いに役立っています。定年後に2年間エンジニアの中途採用にたずさわったこともいまの仕事に活かされており、人生に無駄な経験はないようです。ただ一つ後悔しているのは、資格の取得に挑戦してこなかったことです。面談をしていて資格をたくさん持っている方はそれが強みになりますから、若い人たちには、現職の時代にさまざまな資格取得にチャレンジしてほしいと伝えたいと思います。シニアが働き続けるためにはいくつかハードルがありますが、そのハードルは工夫次第で飛び越えることができます。私も年を重ねるとともに忘れっぽくなってきましたから、毎朝ToDoリストを作成してマーキングで一つひとつ消すようにしています。自分の年齢を自覚してていねいに対処していくことが長く働き続けるヒントかもしれません。面談などで得た情報はデータベースで管理しているのですが、だれが見ても理解できる情報の提供を心がけています。私は「一枚岩」という言葉が好きなのですが、情報の共有や会社のルールを徹底して守ることで一枚岩の企業風土が生まれると思います。整い、採用が決まった人からお礼の報告をもらうときです。たとえうまくいかなかった場合でも、電話の向こうで「丸山さん、またお世話になります」という声を聞くと、これからも一緒にがんばっていこうと、私の方が励まされています。き続けていくためにも健康には気をつけており、年に一度、人間ドックを受診しています。健康維持のために歩くことは大切だと、週末には自宅近くの川沿いのサイクリングロードを妻と散策しています。いまもフルタイムで働く私を見て妻は「本当に仕事が好きなのね」といいながら支えてくれています。しっかり働く日常があるから、非日常の楽しみがあるのだと私は思います。仲間たちとゴルフを楽しむぐらいでしょうか。定年でリタイアした人が多く、仲間たちは、生涯現役を目ざしている私にエールを送ってくれます。定年を迎えても働く意欲があり、体が健康ならば、人は仕事をした方がよいと思っているのかもしれません。を目標に「気の持ちよう」をモットーにして明るく前を向いて歩いていきたい。始まったばかりの生涯現役の道のゴールはまだまだ先にあるようです。入社以来、一番うれしいのはマッチングがせっかく出会えた職場でこれからも長く働趣味というのは特になく、月1回、前職の会社の合言葉でもある「人生に定年なし」株式会社マイスター60は、「中小企業投資育成株式会社法」設立投資第一号として1990(平成2)年に設立された。以来、「年齢は背番号 として高齢者雇用に邁進してきた。人生に定年なし」を経営の基軸求職者の心に寄り添う生涯現役を目ざして39エルダー高齢者に聞く

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