「自発的な研修」で資格保持者が増加個々に合わせた「オーダーメイド」プログラム人材確保と人材の戦力化を目的に、およそ15年前から社員研修の強化を始めた同社。最初の年は、外部研修に社員を強制的に派遣したそうだ。「でも、その研修のなかで講師の先生が質問するんですよ。『どうして今日、みなさんはこの研修に参加したのですか?』と。すると大多数の人が『会社から行けといわれて来た』というのです」。結局、行きたくない研修に行っても成果は出ない。お金と時間の無駄になる。「強制的に派遣するのは1年でやめました」(税田社長)という。2年目からは、研修への参加についても「行きたい人は行ってください」と、社員の自発性に任せる方針に変更。すると「面白い現象」が起きたそうだ。まずは「行く社員」と「行かない社員」に二極化した。そして「行く社員」は、自ら学びたいと思って研修に参加するので、目に見えて成長する。それに対し「行かない社員」が焦りを感じ、同じように研修に赴くようになったそうだ。結果として、15年前は1人もいなかった「建築物環境衛生管理技術者」、「防除作業監督者」といった、清掃に関連する資格の取得者が、現在はおよそ50人にまで増加した。「社員同士、影響されるんですよ。とてもよい影響ですね」(税田社長)。社員の自主性を尊重することで、〝学び〟と〝学び直し〟への機運が醸成された形だ。当初は外部研修主体で行っていた同社の学び・学び直しだが、同社では、自社での研修開発にも取り組むようになった。その一つが、「キャリアアップ研修プログラム」。中途採用者のほか、アルバイト・パート、契約社員として働いていた人が正社員となる際も、必ず受けてもらうプログラムだ。多様な人材を採用し、戦力化していく取組みのなかで、大きな役割をになっている。同プログラムの最大の特徴は「定型ではない」こと。各人に合わせた「オーダーメイド」の研修プログラムを人事担当者・教育担当者が中心となって策定し、その内容に基づき、約半年かけて学んでいくという仕組みになっている。具体的には、キャリアアップ研修の前に、一人ひとり面接を行い、「研修期間中に一番何を学びたいか」、「今後キャリアアップを望んでいるか」などをくわしくヒアリングする。スキルの「棚卸し」も行い、これまでの経験のなかで十分に学べていないスキルは何か、今後どんなスキルを身につければ仕事の幅が広がるのかなどを分析。本人の希望を重視する形で、学び・学び直しのプログラムを組んでいくのだ。ある女性社員の例では、「パソコンのスキルを上げていきたい」という希望があったため、研修期間中、パソコンスキルに関する内容を多めに取り入れた。さらに、「営業的な分野をがんばりたい」という希望に基づき、「営業に役立つ」ことに主眼を置いた研修を実施。見積もりや積算の仕方などテクニカルなスキルのほか、コミュニケーションや傾聴スキル、プレゼンテーションスキルといったヒューマンスキル面も含め、幅広く学び直しを行ってもらった。キャリアアップ研修プログラムは、対象者の年齢やこれまでの経験値に応じて、すべて組み替えている。中途採用者でも、年代によって必要となることは異なる。「中途で入った人たちが新人のときに勉強したことと、いまの時代に必要なスキルは変わって41エルダー日向市に本社を構える株式会社グローバルクリーン〝〝学び直し〟
元のページ ../index.html#43