エルダー2024年5月号
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 3―現在のアシストスーツの普及状況はどの程度なのでしょうか。―取組みの効果はいかがでしょうか。アシストスーツ体験会を通じてその機能や効果を実感できる場を提供いってくれていますし、多くの問合せをいただいています。ただ、医師から「助かる」という声をいただく一方で、保険適用の医療機器ではないため、医療機関が購入するハードルがものすごく高いのが現実です。しかし広い視野に立てば、医師が長く健康な状態で手術現場に立つことは、経営を助けることにもなります。専門職の医師が辞めてしまえば次の人をすぐに雇うこともむずかしいですし、そうした経営課題を認識している病院であれば導入しやすい面もあります。最初の1年間は医療機関に特化して展開し、その後、製造現場や工事現場の警備員、農家などにも拡大していきました。大手の自動車メーカーやタイヤメーカーでは、検査工程に従事する人が利用しています。いまでは売上げのトップが製造業となっています。立ち仕事がつらいからと、いすに座れば作業効率は悪くなりますし、逆に座ることで前屈みの姿勢となり、腰痛を発症することもあります。あえていすを排除し、アルケリスを使っている工場もあります。飯田 査機関の試算では25億円程度とされています。加盟各社の売上げはコロナ下では停滞ないし落ち込みましたが、その後、前年を上回る勢いで伸びています。アシストスーツ協会としては、さらなる普及に向け、出張体験会の開催を中心に活動をアシストスーツの市場規模は、民間調展開しています。2023年だけで全国で40回以上実施しました。協会立ち上げ時からの方針ですが、アシストスーツの利便性は、やはり試してもらわないとわかりません。写真を見ただけでは、体のどの部分が楽になるのか、絶対にわかりませんし、着用してはじめて「腰や腕が楽になる」、「想像していたところと違うところが楽ですね」などと実感してもらえます。なかなか購入を検討してもらえません。これまでは、アシストスーツメーカーが個々に農業関係の展示会などに出展していましたが、アシストスーツ以外も展示されている広い会場のなかで、他社製品と比較するのはむずかしいのです。ユーザーに選んでもらううえでもっとも大切なことは、体験し比較してもらうこと。それが協会として果たすべき役割でもあります。また、他社の製品との比較ができないと、エルダー

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