エルダー2024年5月号
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「就業意識向上研修」の実施件数がトップとなるなど、研修に精力的に取り組まれていますが、研修でのポイントについてお話ください。齋藤 ―「職業寿命」に関しては、何歳と書く人が多いのですか。齋藤 ―「生涯現役」への意欲を引き出すためにも、「収入」は大きな要素になるということですね。齋藤 ―生涯現役社会の実現に向け、特に重要だと考えていること、企業の経営者、総務・人事担当者へのメッセージがあればお願いします。齋藤 生涯現役の柱は「健康」と「収入」「福祉的雇用」から「戦略的雇用」への転換も課題研修には大きく分けて「職場管理者研修」と「生涯現役ライフプラン研修」の二つがあります。ライフプラン研修は、基本的に55歳以上が対象。「定年後、どうするか」が、大きなテーマになります。研修では、「職業寿命を何歳までにするか」を自分で決めるのが最大のポイントです。いつまで働く気があるのか、65歳か75歳か、自分で決めて書いてもらいます。最終目標が決まったら次は「逆算」です。現在れば15年あるので、いまからどんな準備が必要か、「お金」、「資格」、「生活スタイル」など、さまざまな面から考えていきます。最近は「書くのですが、迷う人が多いですね。たぶん何もしなければ、大多数の人が60歳か65歳にすると思います。しかし、お金に関する話などを聞いてもらい、そのうえでディスカッションをすると考えが変わります。大半の企業、特に大企業の多くは定年が60歳ですが、年金の支給開始年齢は原則間どうするか」を考え、65歳から現実にもらえる年金額なども聞くと、みなさん、真剣になります。生涯現役には、二つの柱があると思っています。一つは「健康」で、もう一つが「収入」です。お金のことは、あまりみなさん話したがりませんが、現実に、健康だけでは生活できまで、目標が」が多い印象です。その場でせん。仕事をすることで収入を得る、仕事をしていると健康になる、健康だから仕事ができである。これが、生涯現役の原則といえるのではないでしょうか。用」から「戦略的雇用」へと、ぜひ変えていただきたいと思っています。多くの企業の60歳以降の雇用は、「制度がそうなっているから続けている」という、「福祉的雇用」の側面が大きいのが実情です。それで60歳以降の給与は一定で、上がりもしないし、下がりもしない。働く側からすれば、士気が下がりますよね。そこを戦略的雇用に切り替えることが必要だと考えます。そのなかで最も大切なのが、評価制度の導入です。多くの企業が評価制度を実施していますが、60歳以降は対象としていない企業が圧倒的に多いのですよ。簡単な評価制度でもいいので、60歳以上にも評価制度を適用し、戦略的に働いていただく。評価に報酬をリンクさせ、能力相応のものにする。それが働くシニアのモチベーションを高める一番のポイントとなります。もともとの報酬が高い大きな企業などの場合は、むずかしい面もありますが、戦略的雇用に切り替え、60歳以上のシニアに意欲をもって働いてもらうことができれば、生産性も断然、高まってくると思います。企業の経営者には、高齢者の「福祉的雇(取材・沼野容子)49エルダー70歳雇用推進プランナー、特定社会保険労務士 齋藤敬德さん生涯現役生涯現役を支える支えるお仕事お仕事65歳。「5年70歳55歳70歳

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