エルダー2024年5月号
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【新装版】人生は70歳からが一番面白い「働き手不足1100万人」の衝撃2040年の日本が直面する危機と〝希望〟「2040年には働き手が1100万人足りなくなる」…、2023(令和5)年3月にリクルートワークス研究所が発表した未来予測シミュレーション。この内容が、大きな反響を呼んだ。これほどの「人手不足」は、もはや企業の雇用問題にとどまらず、ゴミの処理、災害からの復旧、道路の除雪、保育サービス、介護サービスなど、これまで享受してきたあらゆる「生活維持サービス」の水準が低下し、消滅する危機に直面する問題であると同研究所は危惧する。本書は、このシミュレーションをもとに、今後日本が直面する「労働供給制約」という不可避の社会課題を明らかにしていく。そして、これから直面する働き手不足の問題を解消するための四つの打開策を提案し、希望を見出す。打開策の一つとしてあげているのが、「シニアの小さな活動」だ。決まった金銭報酬や決まった日時に実施するわけではないが、例えば、小学生の登下校の見守りなど、シニアがになうことによって現役世代を助けている活動である。すでにこのような活動がさまざまな場やかたちで実践されており、本書の中ではシニアが活動をする理由や活動内容、高齢期の生活と両立する小さな仕事・活動のポイントを掘り下げている。弘■■兼■■憲■■史■ 著/田■原■■祐■■子■ 著/かんき出版/古■■屋■星■■■斗■ 著、『島耕作』シリーズなどで知られる漫画家・弘兼憲史氏による、70歳からの人生がより楽しくなる生き方の指南書。2018(平成30)年1月に刊行された『人生は70歳からが一番面白い』(SB新書)を再編集した一冊である。弘兼氏は、1947(昭和22)年生まれ。大手企業勤務を経て漫画家としてデビューした。その作品は、人間や社会について深い洞察力を持って描かれていることが高く評価されている。本書には、「できることなら高齢者になってから周囲に嫌な思いをさせたくないし、家族や社会のお荷物にはなりたくない」と思っている人たちへ向けて、「最期まで上機嫌に人生を歩む」ためのヒントが綴られている。老化現象をプラスにとらえ、上機嫌な人づきあい、上機嫌な「死に方」などについて、弘兼氏の考え方を披露。定年退職後の過ごし方についても、地域のコミュニティに溶け込むためには「過去の肩書や栄光は邪魔になるだけ」、「年齢を重ねてこそ年下に敬語を使う」といった作法を提案する。また、「頼まれごとで周りの役に立つ」ことをすすめるが、「疲れることはやめよう」というシンプルな判断基準を持つことも提案。心も足取りも自然と軽やかになるような指南書である。定年を意識しはじめると、再雇用で働き続けるか、それともほかの会社や仕事を探してみようかと考えたり、どちらにしても、この先の自分がどれほどの仕事をできるだろうかと漠然とした不安にかられたりする人は多いだろう。本書は、人材開発コンサルタントとしてこれまで13万人以上の人材開発を手がけてきたという著者が、より自分を活かすことができるセカンドキャリアの選び方を伝授する。著者が重視するのは、長年多くの経験を積んだ人が、無意識のうちに使っている「経験知(仕事の実践を通じて蓄積したノウハウ、知識・知恵)」である。本書では、一人ひとりに潜在するさまざまな「経験知」を見える化し、キャリアを切り開いて報酬を得ていく方法を、四つのステップで解説。55歳からの収入プラン、仕事プラン、人生設計の具体化をサポートする。また、同業種でキャリアアップした人、同業種・異職種へキャリアシフトした人、異業種・同職種でキャリアチェンジした人、異業種・異職種へキャリアチャレンジした人など、50代半ばからの転身に成功している実例も多数紹介している。経験知をどう役立てていくか、自らの未来を自らで考え、切り拓いていく勇気がわいてくる。57エルダーSBクリエイティブ/リクルートワークスプレジデント社/1430円1650円研究所 著/1760円自らの経験知をセカンドキャリアに活かす方法を四つのステップで示すシニアがになう小さな仕事や活動に着目するなど四つの解決策を提案上機嫌に毎日を過ごすためのヒントが満載55歳からのリアルな働き方

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