エルダー2024年6月号
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即戦力を求める会社は、のちほど解説するシニアの副業や業務委託などでは特に、面接の際に今後の学びや新しいチャレンジの話を出した求職者を「プロの姿勢ではない」と不採用にする傾向があります。もちろん、会社に貢献できるスキルが何もないのは論外ですし、会社の教育・研修に甘えるのも問題です。けれども、新しいことを“学ぶ姿勢”のないシニアは、過去の栄光に固執しやすいものです。むしろ、面接では“学ぶ姿勢”をしっかり確認・評価することが重要となります。さて、そもそもシニアにかぎらず“戦力”を計る指標はあるのでしょうか。社員の“戦力”の判断基準がないか、あっても基準が曖昧では、即戦力のシニアかどうかも判断できません。若手や中堅も含め、成果や教育結果の評価基準や採用時の判断基準は、明確なものを設定すべきです。それをもとに、シニアの採用基準も調整するとよいでしょう。また、そもそも事業そのものが成果を上げにくい状況であれば、百戦錬磨のシニアを採用した場合でも、「逆境を乗り越えて成果を出せ」、「プロなら改善も含めてできるだろう」というのは酷です。そうした期待をするのであれば、“その業務”のプロではなく、“事業再構築”や“組織改革”のプロのシニアを採用するべきでしょう。3前述必必の要要ようななにスス、キキシルルニををア明明に確確任ににせる業務、求める成果、採用するシニアの経験とスキルがそれぞれバラバラだと、いくらスキルの高いシニアを採用しても即戦力として力を発揮できません。募集前からどんな仕事を任せて、どんな成果を期待するのか、しっかりと決めておくことが必要です。もし、シニアの仕事の難易度や負担を減らす場合は、社内の仕事内容そのままではなく、シニア専用に業務を切り出すと、より活躍してもらいやすい業務設計ができます。先輩社員が新人向けに行っていたOJTなどの教育をシニアに担当してもらい、中堅社員をコア業務に集中させる例は多く見られます。このように、事前にシニアの担当業務を明確にすることで、求めるスキルセットも明確になり、業務に見合ったシニアを採用できます。応募するシニアも自分に合った業務であるかを判断しやすくなり、ミスマッチが減ります。また、シニアに任せる業務も、求めるスキルセットも明確になっている場合、それ以外の曖昧で余計な指標を選考に持ちこんではいけません。例えば、シニアの前職がいくら大企業でも、仕事ができるかは別です。健康アピールも数年後にどうなるかはわかりませんし、やはり仕事の能力とは無関係です。反対に、「シニアだから体力がない」、「ITに弱い」といった先入観(バイアス)で判断してしまうのも問題です。発化していますが、この背景から採用に必要となってくるものが、転職市場の給与相場の研究です。当然ですが、同じエリアの同じ職種の給与相場を下回る提示金額では採用がむずかしくなります。用できる」という感覚を持つ方もいるかもしれませんが、じつはシニアも徐々に採用がむずかしくなり、給与相場も高くなってきています。2023(令和5)年9月の敬老の日に合わせて総務省統計局が発表した『統計からみた我が国の高齢者ー「敬老の日」にちなんでー』※1では、65歳以上の人口が1950(昭和25)年以降初の減少となったことが示されました。もちろん、一過性である可能性もありますが、出生率が改善しないかぎり、シニアも人口は減っていきます。人手不足の業界職種では、すでに50代、60代すら採用がむずかしくなっているケースもあります。後賃上げの影響で地域の給与相場を下回り、採昨今、国が旗を振っている賃上げの動きが活もしかすると「シニアは安い給与設定でも採現在はシニアが採用できている会社でも、今8※1 https://www.stat.go.jp/data/topics/pdf/topics138.pdf任任せせるる業業務務とと

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