エルダー2024年6月号
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・複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること・二つの事業所(一つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること・二つの事業所のそれぞれの雇用見込みが総合的に評価して労災認定が行われます。 長時間労働の場合ですと、例えば、仮に「A社での時間外労働時間数60時間」と「B社での時間外労働時間数40時間」とした場合、A社、B社での負荷を総合評価し、100時間として判断されます。また、精神障害の負荷においては、例えば、仮に「A社:ノルマが達成できなかった」、「B社:パワーハラスメントを受けた」としたら、複数の出来事があったとして、A社、B社での負荷を総合評価して判断されます。(2)雇用保険①原則的な考え同一の事業主のもとで①1週間の所定労働時間が20時間未満である者、②継続して31日以上雇用されることが見込まれない者は被保険者となりません。また、同時に複数の事業主に雇用されている者が、それぞれの雇用関係において被保険者要件を満たす場合、その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける雇用関係についてのみ被保険者となります。②雇用保険マルチジョブホルダー制度原則的な考えの例外として、雇用保険マルチジョブホルダー制度が設けられています。複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち二つの事業所での勤務を合計して次の要件を満たす場合、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。(3)社会保険社会保険(厚生年金保険および健康保険)の適用要件は、事業所ごとに判断されます。したがって、複数の事業所で勤務する者が、いずれの事業所においても適用要件を満たさなければ、適用されません。が、それぞれの事業所で被保険者要件を満たすこともあります。轄の年金事務所および医療保険者を選択し、当該選択された年金事務所および医療保険者において各事業所の報酬月額を合算して、標準報酬月額を算定し、保険料を決定することとされています。6副業まにとよるめシニア人材を活用するうえで、今回解説した、労基法における取扱い、特に労働時間の取扱いは留意しておく必要があります。  人材と新たに雇用契約を締結する場合、後契約になりますので、所定労働時間を通算した結果、法定労働時間を超過し、割増賃金を支給する可能性もあります。規則に適切に規定し、また、副業・兼業に関する届出様式も整備しておくことが重要です。なお、同時に複数の事業所で就労している者この場合、被保険者は、いずれかの事業所の管他社で雇用契約を結んで勤務しているシニアそして、副業でのトラブルがないように就業2024.614出典: 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説」(2022年)より抜粋図表3 賃金額の合算の具体例会社A会社B31日以上であること2社の賃金額計35万円を基に保険給付を算定20万円/月労働災害15万円/月

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