エルダー2024年6月号
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ら会社を立ち上げ、さまざまな案件を手がけてきたが、最終的には一技術者として自分のキャリアを終えたいとの思いから応募。入社にあたっては、本人と会社で業務内容のすり合わせを行い、本人の意向を尊重したうえで職務内容を決定したそうだ。「『自ら積んできた経験が活かせる』、『教えがいがあるメンバーが多くておもしろい』といって入社されました。事業部長クラスの能力があるので、本当はマネジメントを任せたいところでしたが、本人の強い希望で技術者としての採用となりました」(野溝課長)Bさん(60歳)は全国有数の大手企業出身者である。事業部長などの管理職を経て、60歳の定年退職と同時に同社に入社した。「当社には形を変えながら大きく成長させていきたいフェーズの既存事業があり、この事業について組織課題や事業課題を解決し、やり遂げる気概を持って入社されました」(野溝課長)まだ入社して日が浅く、彼らがもたらす効果の検証はこれからになるが、豊富な経験を活かした積極的な展開に対する期待は高まる。なお、現在同社には、創業時代から基盤システムの開発事業の中心的な役割をになってきたて活躍している。「ミドル・シニア採用」と銘打って採用活動をスタートしたことで、当該世代の応募者は以前よりも確実に増加しており、引き続き同世代に向けた求人は続けていく方針だ。最後に野溝課長にミドル・シニア世代の人材への期待をうかがった。「いまの日本のテクノロジーは、現在50~60代の方々が中心となって活躍していたころの、おもにメーカーが取り組んで開発していたITシステムによって支えられています。その経験はかけがえのないものです。40代以下の世代にとっては、書籍などから知識として知っていたとしても、実際に体験したことのない、これからも経験することができないものです。テクノロジーは進化しており、技術力は若手も引けを取りません。一方で、まだまだ経験の浅い当社は、ビジネスに根ざした商慣習などに疎いところがあり、ミドル・シニア世代の人材には、そうした慣習を含めて伝授してもらうとともに、目ざすべき組織像を提示していただき、経験に基づいた“ちょうどよい塩梅”の立ち回り方などをアドバイスしていただきたいと思っています。もちろん、ご自身がつちかってきた経験を発揮し、現役のエンジニアとして現場で活躍したいというミドル・シニア人材の方には、その経験を遺憾なく発揮できる環境を整えています。ご自身が描くキャリアビジョンを実現するための選択肢として、当社を選んでいただけるミドル・シニア人材の方を歓迎します」壌を持った企業風土がある。そこにいままではいなかったミドル・シニア世代の人材を受け入れるのは、決して高いハードルではないだろう。次の成長段階に向けて、さらに厚みを増した体制でどう挑んでいくのかに注目したい。同社にはもともと、多様性を受け入れる土22ミドル・シニア採用にて入社したAさん50代後半の人材もおり、現在は地方拠点長とし

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