エルダー2024年6月号
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えば月・週ごとなど短い期間でとらえて、『4件→2件→0件』と改善状況が目に見えてわかると、作業者も成果を実感しやすいと思います。このようにデータの表し方を工夫して、最終的にはゼロにしたいです」目標は不良の件数を目に見えて減らし、作業者に起因する不良をなくし、不良ゼロを達成すること。しかし、課題にはさまざまな要素が折り重なっているという。業務拡張だけではなく人の入れ替わりなどが要因となることもあり、そこがむずかしいところだという。教育・育成担当者とも連携しながら、不良ゼロに向けた取組みを推進していく考えだ。これまでの経験を活かし、新たな責任と役割をになっている金武さんだが、〝転職してきたシニア人材〟として、働くうえで気をつけていることや注意していることはあるのだろうか。例えば、大手企業出身のシニア人材が再就職先として中小企業を選び、そこで過去の実績をひけらかしたり、「前の会社はこうだった」などの価値観を押しつけて、周囲から反感を買うといったケースを耳にすることも多い。「やはりその点には気をつけています。過去は過去のもので、それをそのままいまの会社に持ってきてもまったく役には立たないでしょう。それよりも、いまの現実を、いまいる社員のみなさんに対してデータで示して、どうすればよいかを一緒に考えていくことが重要だと考えて、入社以来仕事に臨んできました」(金武さん)また、大手企業在籍時は、任される役割がはっきりしており、与えられた目の前の業務に取り組んでいればよかったが、いまはより広い範囲を見ながら仕事をしているという。「やるべきことがたくさんあるので、たいへんではありますが、いろいろなことが勉強になりますし、それがやりがいでもあります。改善に向けてデータとともに示す私の意見に、会社も耳を傾けてくれますし、さまざまな部署がかかわりながら行うものづくりの現場は、興味深くおもしろいですね」(金武さん)小さいころから機械など細かいものが組み合わさったものが好きで、いろいろとものをバラして遊んでいたという金武さん。中学校に上がるとトランジスタラジオを自分で組み立てるなど、そのころから電気機器に興味を持って、ものをつくるおもしろさに魅了され、それがいまも続いているのだそうだ。シニアが再就職をするうえでの心構えについてうかがった。「一口に〝シニア〟といってもさまざまな方がいて、私のようにものづくりが好きな方もいれば、会社自体の仕組みをつくっていくことが好きだという方、あるいは人を育てることが好きだという方もいるでしょう。やはり最終的には、〝自分が好きなこと〟を目ざすのがよいのではないでしょうか。それがモチベーションを維持して働くうえでの最善の道だと思います。再就職を考えて自分の好きなこと、得意なことをぜひ突きつめてほしいと思います。再就職は本当にご縁だと思います。ただ、何もせずに待っているだけでよいということではなく、自分から積極的に動いて、そのなかで得られたご縁を大切にしていくのが重要だと思います。私は本当にこの会社に入ってよかったなと思っています」(金武さん)が、金武さんは58歳で入社し、現在62歳。立場は再雇用の嘱託社員ですが、定年前の待遇のまま品質保証室室長として活躍しています。本人の体力の許すかぎり勤めていただけたらと思っています」と話し、金武さんの今後の活躍に大きな期待を示した。最後に、安藤取締役は「弊社は60歳定年です2024.626シシニニアア世世代代のの再再就就職職はは大大手手企企業業かからら中中小小企企業業へへ転転職職すするるううええでで大大切切ななこことと

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