不利益変更の必要性のほか、全体的な不利益の程度を試算し、不利益緩和措置を行うこと、労働組合などとの協議を行い条件を調整すること、協議については回数を重ねて行い、譲歩の余地があれば会社から提案するといったプロセスを経て、最終的な変更に至ることが重要となります。会社の業績などを考慮すると、昇給を継続することができず、むしろ手当の削減や給与制度全体の見直しが必要な状況にあると考えています。廃止すべき手当について、どのように選別していくとよいのか、また、削減するにあたって、気をつけるべき点があれば教えてください。Q2賃金の不利益変更齢者を雇用するにあたって、更新の可能性に関して、「原則更新」といった記載をしておくことは、更新に対する合理的な期待が認められる可能性を高めることになることには留意する必要があるでしょう。また、現在は、更新上限回数を労働条件通知書に記載する必1支給する賃金を個別にではなく、全体的に見直すことを予定している企業において、就業規則の不利益変更に関する配慮は避けることができません。要がありますので、定年後再雇用者と同程度の期間を想定するのであれば、70歳までもしくは5回を上限とするなど、労働条件通知書や雇用契約書に記載する事項についても、継続雇用の労働者以上に気を配る必要があると考えられます。労働契約法第10条は、就業規則により労働者の労働条件を不利益に変更することについて、合理的なものでなければならないと定めています。したがって、不利益変更の合理性がどのような観点から認められるのか検討する必要があります。合理性判断にあたって考慮される内容は、以下のような事項とされています。①労働者が受ける不利益の程度②労働条件変更の必要性③変更後の就業規則の内容の相当性④労働組合等との交渉の状況⑤その他就業規則の変更に係る事情使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、合意によらないかぎり変更することはできません。直しを行うということは、会社の現在の業績と昇給ができないという事情が、②労働条件変更の必要性ということになります。決算書をふまえた資産の状況などを考慮して、切実な必要性が認められるのか、そうではないのかということが検討されることになります。賃金に関する不利益変更を有効と認める裁判例では、「高度の必要性」(例えば、破産または清算するか、賃金減額するか選択せざるを得ないほどの必要性)が求められ、なかなか変更が有効とは認められていません。過措置を置くかどうかといった点が、①労働者が受ける不利益の程度や、③変更後の労働条件の相当性として考慮されることになります。なお、ある手当を削減しつつ、ほかの条件を引き上げることで実質的に不利益ではなただし、労働契約において、労働者および会社の業績などを考慮して、賃金制度の見次に、手当の削減の金額やそれに対する経業績悪化による賃金減額・手当の廃止を検討しているのですが、注意点はありますか2024.646A
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