エルダー2024年6月号
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今回は、出向・転籍について取り上げます。出向・転籍は人事異動の一つです。人事異動とは、社員の所属する組織や地位、勤務条件などが変わることをいいます。人事異動のうち、社員の所属する組織を変えるおもな行為が配置転換・出向・転籍です。このうちほぼすべての企業で行われるのが配置転換で、自社内において、勤務地や所属する部署・職務が変更となることをさします。一方で、自社以外の企業へ所属や職務が変わることが出向・転籍で、「社外への異動」というのが配置転換との違いになります。それでは、出向と転籍について具体的にみていきたいと思います。まずは出向ですが、図表の〔出向〕にある通り、労働者が出向元企業(自社)と出向先企業(他社)と労働契約を結び、双方と雇用関係を持ちながら職務に従事することをいいます。労働者がもともと労働契約を結んでいる企業に在籍したまま他社の仕事をすることから在籍型出向とも呼ばれます。民法上で令※1により実施されることになります。は、労働契約の権利を使用者(雇用主)が第三者に譲り渡すことはできないとされていますが、本人の合意または就業規則に基づく異動命向元・出向先間で結ばれる出向契約です。出向契約で定めておくことが望ましい事項の代表的なものとして、出向期間、職務内容・職位・勤務場所、就業時間・休憩時間、休日・休暇、賃金・出向を実施するにあたり必要となるのが、出出向・転籍は人事異動の一つ出向は元の会社との雇用関係あり出向元出向先労働者転籍元労働者転籍先2024.650※1  出向先での賃金・労働条件、出向の期間、復帰の仕方など就業規則や労働協約等によって労働者の利益に配慮して整備されている、また出向命令が使用者の権利の濫用ではないといった前提が必要出典:「出向等に関する参考資料」経済産業省北海道経済産業局、筆者一部加工図表 出向・転籍株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。「出向・転籍」〔出向(在籍型出向)〕出向契約雇用雇用関係関係雇用雇用関係関係〔転籍(転籍型出向)〕転籍契約雇用関係の雇用関係の終了終了雇用雇用関係関係第47回■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典

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