髙■■倉■■千■春■■ 著/小■山■■文■■彦■■ 著/金剛出版/2970円細■■井■恵■美■子■ 著/個と組織「共進化」の時代いま「人的資本経営」、「リスキリング」、「ウェルビーイング経営」など人事関係の話題が注目されている。30年近く複数の外資企業、日本企業で人事制度改革などに取り組んできた著者の髙倉千春氏は、いまほど人事のテーマが注目された時代はなかったのではないか、と現在を記す。だが同時に、単に流行として取り入れるだけになっていないだろうか、と心配もしている。人的資本経営を持続的に実現するためには、る状態を目指して、エンゲージメントの向上はもちろん、プライベートの充実も図っていく。そういうウェルビーイング経営の実践を通じて、活力にあふれたすべての社員が企業活動に参画できるオープンで前向きな風土をつくっていく必要がある」と著者は綴る。今後は、個人と組織がともに成長して進化していく時代であるという。本書は、著者が紆余曲折を経て取り組んできた人事変革と、企業人事はいま何を問われ、今後はどうあるべきなのか、人の生き方に直結する「人事」に求められているものを考え、示していく。具体例などから学ぶことが多いうえ、人事担当者に必要とされるマインドについても触れるなど、ぬくもりも感じる良書である。精神科医が出会った30のストーリー精神科医として30年以上のキャリアを持つ著者の小山文彦氏は、読売新聞社の医療サイトで「ココロブルーに効く話」を連載している。小山氏が診療や相談の現場で多くの人の悩みやストレスを聴き、かかわった事例を題材に書いているものだ。本書は、それらのなかから30の事例を選び、小山氏がそれぞれの過程のなかに見いだせた「心のありか」に主眼を置き、同サイトでは書き切れなかった著者の心情などを交えて再編し、書籍化した一冊である。ある50歳の男性は、仕事をしながら週末は隣県に住む母親の世話をすることが大事なライフワークになっていた。しかし、母親が突然他界。心にぽっかりと穴があいてしまったが、昔から親しんでいた音楽を再び楽しむことが、うつの解消につながっていく。人は一生のうちに何度か、この男性のような経験をするという。家族との死別、退職、子どもの自立など、そのような時期に、「心の穴」を広げないために大切なことが、本書に示されている。起こった場合の参考になるとともに、読むことで安堵感を覚えるような内容となっている。「社員がやりがいや生きがいを感じながら働け著者の細井恵美子氏は、1931(昭和6)年生まれの93歳。17歳から医療・看護の現場で働き、身体拘束のない看護に取り組んだほか、在宅療養部の開設や病院ボランティアの導入にも尽力した。70歳で特別養護老人ホームの施設長に。81歳から同顧問となり、現在も現場で活躍する生涯現役の実践者である。本書は、「110歳人生を目指し、いきいきと暮らしていきましょう」と語る著者が実践している、毎日を明るく楽しく生きていくための心得帖。健康のこと、人とのつながり、仕事に対する思いを、みずみずしい表現で綴っている。「高齢者の幸福とは働けること。働けることは自由の源です」、「定年は〝人生再構築の出発点〟です。自分にできる働き方に、どんどん挑戦を」、「心に桜の花を咲かせましょう」など読者の背中を押してくれる言葉や心身の健康づくりのヒントが詰まっている。そこには、だれもがかかる可能性がある認知症の予防や向きあい方、支える家族の苦悩について、また、すべての人に訪れる人生の最期について、エピソードを交えながら自らの考えも示されている。本書のタイトルにある「支えあって生きていく。」、この姿勢が読むほどに心に染みる。人事変革ストーリーココロブルーに効く話57光文社/990円Gakken/1650円エルダー30のストーリーは、似たようなことが自分につらい気持ちや悲しみをときほぐしていくプロセスを描いた「読む処方箋」医療・介護の現場で活躍中の93歳!!毎日を明るく生きていくための心得を伝授人事のプロが実体験から語る、「個」が活きる組織とは93歳、支えあって生きていく。
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