エルダー2024年6月号
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ectrico.jelc.phttps://www.fuji富士電機株式会社千葉工場TEL:0436(42)8110(撮影・福田栄夫/取材・増田忠英)の写真のように、横にした巻型に電線を縦方向に巻いていく方法(横巻き)のみで行われてきたが、電線が太い場合、上に重ねて巻いていくとねじれやすいという欠点がある。巻型を立てて電線を横に巻いていく竪巻きであれば、電線を上に積み重ねていけるため、太い電線でも巻きやすい。そのため、設計の自由度が増したという。「竪巻きでつくるコイルは工場で使われる変圧器のものが多いです。工場の変圧器は電源のオン・オフが多く、電源を入れるたびに振動が起こるため、コイルに緩みがあると崩れやすくなります。竪巻きにしたことで緩みが生じにくくなり、耐久性も向上しました」ものづくりが好きだった深山さんは、工業高校電気科を卒業し、1980(昭和55)年に富士電機株式会社に入社。1年間の研修を経て巻線の職場に配属された。「最初の1年ほどは覚えることが多くて﹃きついな﹄と思いましたが、早く一人前になりたくて、毎日夜遅くまで働きました。仕事ができるようになると、自分の腕が出来栄えに表れるところにおもしろさを感じるようになりました」深山さんの入社当時は、電線やコイルの種類を一通り覚えるのにだ。現在、その期間は半分ほどに短縮されている。それを可能にしたのが、深山さんが提案した「巻線道場」の存在だ。職場のOBが指導役となり、若手が巻線作業を練習できる場である。「早く一人前になれば、仕事のおもしろさも早くわかる」と、自身がつちかってきた技能を、今後も後進の育成に活かしていく考えだ。後進の育成を加速させる﹁巻線道場﹂を提案63東京湾に面している千葉工場。中央の大きな建屋が変圧器工場。大型の変圧器はクレーンで船に積んで出荷される (写真提供:富士電機株式会社)巻線作業の担当者が共同で使用するスパナ、ハンマー、ペンチ、カッターなどの工具類。必要時にすぐに使えるように整理整頓されている千葉工場の主力製品である大型変圧器。受注生産により、半年~1年程度をかけて製作される (写真提供:富士電機株式会社)61ページ写真の右奥には、電線ドラムが設置された架台がある。そこから自動で送られてくる電線の張り具合を調整しながら巻いていく深山さんが確立させた竪型巻線。横型巻線ではねじれてしまう幅の太い電線を巻けるようになり、設計の自由度が増し、耐久性も向上した (写真提供:富士電機株式会社)エルダー vol.34010年かかるといわれていたそう

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