エルダー2024年7月号
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3マン評評ガ価価に制制登場度度すののる対対J応応EををEDふふ製りりパ返返ンるるで継続雇用の高齢社員に対して「全員一律の賃金、賞与なし」の賃金・評価制度がとられていた背景を、企業の高齢者雇用に影響をおよぼす国の高齢者雇用政策との関連でふり返ってみたいと思います。平成期における国の高齢者雇用政策には大きく二つの動きがみられました。一つは平成期前半の65歳までの雇用推進です。この時期に3回の高齢法改正が行われました。定年到達者が希望する場合の定年後の継続雇用の努力義務化を企業に課した1990(平成2)年改正、60歳定年が義務化された1994年改正、そして定年の引上げ等による高年齢者雇用確保措置の努力義務化を企業に課した2000年改正です。こうした国の高齢者雇用政策の推進を受けて、企業は65歳までの雇用推進に向けた人事管理の整備に取り組みました。多くの企業で整備された雇用制度は「60歳定年制+基準該当者の再雇用制度(継続雇用制度)」です。総論で紹介した現在の高齢法とは異なり、当時の高齢法は、65歳までの雇用確保が努力義務であり、再雇用(継続雇用)の対象者に基準を設けることができました。また、高齢社員の人数も、従業員の労務構成において大きな集団となっている現在に比べて当時は少ない状況でした。そのため、仕事の成果を求める正社員とは異なり、高齢社員に対して仕事の成果を求めない福祉的雇用の活用方針がとられ、それに基づいて賃金は「全員一律の基本給、昇給なし、定額の賞与」の対応がとられ、評価については不実施、あるいは継続雇用者用の評価制度を整備して実施の対応がとられ、マンガに登場するJEED製パンでもこうした動きにあわせて同じ対応がとられていました。二つめの動きは平成後半期の実質65歳定年制の整備です。2004年に高齢法は改正され、それまで努力義務であった高年齢者雇用確保措置が義務化されました。つまり、定年を迎えた社員が希望すれば、65歳まで働くことができる雇用環境――実質65歳定年制――が整備されました。しかし、平成期前半で福祉的雇用の活用方針をとった企業は「高齢社員のモチベーション低下問題(継続雇用後の仕事内容は定年前とほぼ同じにもかかわらず、処遇などが大きく変わることへの不満)」に悩まされていました。企業は高齢社員に対して「仕事の成果を求めない」とは伝えていませんが、継続雇用後の賃金・評価などの処遇が定年前と変わっていることでそれを認識していました。社会情勢は少子高齢化がさらに進む一方、厚生年金の受給開始年齢が引き上げられたため、65歳まで働くことを希望する高齢社員が増え、企業の労務構成において大きな集団となり、この問題は全社的な経営課題となりました。年前の正社員と同じように仕事の成果を求める戦略的活用に転換し、それにあわせて高齢社員の人事管理の見直しが進められました。賃金・評価制度では仕事の成果を処遇に反映するよう基本給は一律定額から定年時の職位・等級などにリンクした水準に、昇給は不支給(なし)かそこで、企業は活用方針を福祉的雇用から定国の高齢者雇用政策65歳までの雇用確保の雇用の基本方針高齢社員の活用方針企業の対応賃金・評価制度平成期前半65歳までの雇用確保の努力義務化65歳雇用の推進福祉的雇用・基本給: 職位・等級等(昇給なし)・ 基本給: 全員一律・賞与:定額・評価: 不実施、もしくは実施(継続雇用者用)後半義務化実質65歳定年制の整備戦略的活用への転換リンク(昇給あり)・賞与:人事評価反映・評価: 実施(正社員準拠)2024.714※筆者作成図表2 国の高齢者雇用政策と企業の賃金・評価制度の対応平平成成期期ににおおけけるる企企業業のの賃賃金金・・

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