製造業B社本社近郊に4カ所の事業所を持つ製造業B社は、継続雇用の社員が働きやすく負担とならないように、柔軟な勤務体制を整備しています。具体的には、勤務日を週2~6日の選択制とし、出退勤時間はフレックスタイム制としています。さらに、通院や家庭の事情、雨天時の通勤負担を考慮した出勤日の振替調整や、定年前の正社員を含めて育児などの事情にあわせた在宅勤務への切り替えを可能としています。(出典‥(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構︹2024︺﹃70歳雇用推進事例集2024﹄を一部修正)る場合には会社に出勤します。職場でほかの社員と協力して仕事をするからです。デジタル化が進展するなかで時代が新たな働き方として在宅勤務(テレワーク)が情報サービス業や裁量労働制が適用されている社員を中心に広がりましたが、社会全体からみると限定的でした。しかし、令和期の新型コロナウイルス感染症対策として産業全体に広がり、収束後は育児や介護などのライフスタイルの多様化に対応する働き方として位置づけられるようになりました。ただし、JEED製パンのように同じ会社でも経理部の石窯さんは在宅勤務を利用することができますが、工場勤務の三戸さんはむずかしいと思われます。製造部門の仕事は、会社(工場)に来ないとできない特性を持つ仕事だからです。4この働働よききう方方に勤のの務柔柔制軟軟度化化のとと柔軟労労化働働は時時病間間気管管の理理治療や家族の介護などライフスタイルが多様化する高齢社員にとっても、会社にとってもよい動き(変化)です。高齢社員は個人の事情で退職せずに働き続けることができますし、人手不足に悩まされている会社は経験やスキルを持つ戦力(高齢社員)を失わずにすみます。JEED製パンのように高齢社員の就労ニーズにあわせて選択できる多様で柔軟な働き方の実現に向けて、短日・短時間勤務の勤務制度や在宅勤務制度を設けることが求められます。また、こうした多様で柔軟な働き方を求めるニーズは高齢社員だけではありません。フルタイム勤務をしている定年前の正社員のなかにも育児や親の介護、本人の病気治療の健康問題など、さまざまな事情を抱えている者もいます。JEED製パンのように多様で柔軟な働き方を実現できる勤務制度は高齢社員だけで限定せずに、すべての社員に広く適用することが求められます。最後に、在宅勤務制度を設ける場合には、同制度を利用する社員の労働時間を正確に把握することが求められます。フルタイム勤務をはじめ、短日・短時間勤務の場合、働く場所は「会社」なので、会社は社員の働いた時間(労働時間)を正確に把握することができますが、働く場所が「自宅」の在宅勤務の場合、実際の仕事の開始時間と終了時間を管理する勤怠管理は最終的に社員本人に委ねるため、実際に働いた時間を会社と同じように正確に把握することがむずかしいからです※3。そのため、サービス残業や長時間労働、中抜けなどの問題が生じるおそれがあります。在宅勤務制度を設ける場合には、こうした問題を発生させない勤怠管理体制の拡充が求められます。勤務制度の事例として、B社の取組みを紹介します。この事例の特徴は、高齢社員をはじめ社員の事情にあわせて柔軟な勤務体制を整備している点です。このような多様で柔軟な働き方を可能にする柔軟な勤務体制の整備特集新任人事担当者のための高齢者雇用入門事例2※3 もちろん、会社は在宅勤務の勤怠管理ルール(例えば、勤怠管理システムへの利用、メールやチャットなどによる報告など)を整備して、社員に在宅勤務をさせている19エルダー
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