エルダー2024年7月号
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5おおわわりりにに覚などの平衡機能の低下が著しいことです。健診項目には平衡機能検査は入っていません。自動車製造業車両製造部所属の20〜64歳の2592人を対象とした調査では※4、20代のバランスと比較すると、60代で敏捷性が69%、閉眼片足立ち機能が28%まで減少しています。高齢労働者は、ふらつきが大きく、視覚を使わない反射的な危険回避が苦手になっているといえます。転びそうになっても、咄嗟に反対側の足でふん張れず、受け身がとれずに頭から転倒し大けがにつながります。4国のふふ政まま策ええとたたし職職ても場場2でで0のの2工工0夫夫年ややにポポ「イイ高年ンン齢トト労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)※5が示されており、第14次労働災害防止計画(2023〜2027年度)でも高年齢労働者の転倒対策があげられています。それでは、どのようなポイントに気をつければよいでしょうか。例えば、転倒災害には以下の四つがあげられます※4※6。■社会管理的要因(環境)…整理・整頓、焦り・規則違反、職場風土など■外的要因(環境)…床面摩擦凹凸・段差、手すり、照明、通路幅など■内的要因(個人)…運動機能低下、視覚機能低下、身体・精神的疾患、服薬状況など■傷害増幅要因(個人)…身体強度・耐性、回避能力(敏捷性)、骨強度、内臓耐性など何よりも最初は環境側面からのアプローチが必要です(社会管理的要因、外的要因)。例えば、「走ると危ないので走らない」、「床に物やコードが散乱しているとつまずくので整理整頓」、「床が濡れていれば(雨の日なども)滑るので掃除」、「階段の移動は手すりを持つ」、「段差があれば段差をなくす(むずかしい場合はトラテープなどの目印)」、「薄暗ければ照明をつける」などです。このようにあたり前のことをあたり前にすることが重要です。一方で、労働災害の発生確率そのものが悪化している場合もあることがわかっています※7。そのため、個人の側面(内的要因、傷害増幅要因)、心身機能低下なども考慮した総合的な対策を行いましょう。例えば、健康診断の結果に基づき、きちんと指導を受けることは重要です。健康イベントなどで身体機能の実測値と自己認識値のギャップを知るのもよいでしょう※8。身体機能の実測値が自己認識よりも低くなると、労働災害が発生する可能性が高くなります。加齢により、閉眼バランスや敏捷性のギャップが顕著になるため、自分の身体機能をきちんと知り、リスクを正しく恐れることが重要です。エイジフレンドリーガイドラインなどを参考に、環境改善の第一歩に取り組んでみてください。す高齢者の労働力が重要になっています。高齢者の雇用は、企業の持続可能な成長に欠かせません。一人ひとりの健康状態や能力を、労働者も事業者も相互的に正しく把握し理解し、個別の状態に合わせた適切な業務の割り振りや作業環境の調整が必要となります。働き手の多様性を尊重し、幸せ・働きがい・生産性向上のために高齢者雇用を考えていただければと思います。特集新任人事担当者のための高齢者雇用入門※4 川越隆「転倒災害の現状と対策」『日本転倒予防学会誌』6巻3号(2020年)※5 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10178.html※6 永田久雄『「転び」事故の予防科学』(労働調査会・2010年)※7 津島沙輝ら「労働災害の年齢調整発生率の推移:公開統計を用いた分析」『産業医学ジャーナル』46巻4号(2023年)※8 財津將嘉「高年齢労働者の労災防止対策-産業医はココに注意」『日本医事新報』 5170号(2023年)2370歳までの就業確保措置が進むなか、ますまエエイイジジフフレレンンドドリリーーガガイイドドラライインンをを

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