エルダー2024年7月号
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「入社したときに仕事を教えてくれた先輩は、三つ年下の後輩でした」と、藤井さん。よい意味での「島育ち」の鷹■揚■さが言葉の端々に表われる。藤井さんは3人兄弟で、弟さんの友人の一人も入社してきた。島の若者が都市部で活躍の場を得られたよき時代であった。奥村印刷株式会社は、長年の技術を駆使して完成した「折り紙食器」で被災地を支援しており、いま、マスコミから注目されている。また、品質マネジメントシステムの確立でも業界に先駆け、その部分を支える一人に藤井さんがいる。失敗を恐れずによりよい職場環境づくりに注力があるといわれたチラシの注文が殺到し、有名企業のチラシ印刷を受注した営業マンはとても誇らしげでした。また、不動産関係の週刊誌も印刷していたので、社内中みんな目が回る忙しさでしたが、現場は活気にあふれていました。人より少し遠回りして入社した私ですが、いまも同じ会社で働かせてもらえているのですから、出会いに感謝しています。もともと印刷業に興味があったわけではありませんでしたし、製版工務という仕事に対してもまったくの無知でした。それでもいま思えば半年ほど経ったときには一人前の口をきいていたような気がします。つまり、毎日が本当に忙しかったため、場数をたくさん踏み、経験を重ねられたのです。やる気次第でどんどん成長することができたのは幸せでした。もちろん失敗もたくさんしました。私のミスで商品が刷り直しになったこともあり、落ちこむことも多かったです。ただ、失敗した■■ときにそれをどう乗り越えるかというプロセスが大切だと私は思います。失敗を力にして、この40年間懸命に歩いてきました。務め、その後は業務・品質管理の仕事に就きました。60歳で定年退職し再雇用となり、いまもフルタイムで働いています。結婚が遅く、子育ての時期が人より遅かったこともあり、定年でのリタイアなど考えたこともありません。現在、3カ月に1回、雇用契約の更新を行っていますが、これが自分のことを見直せるよい機会だと前向きにとらえています。「折り紙食器」のことは多くの方が関心を持ってくださっています。ご興味ある方は当社のホームページをぜひご覧ください。一方、会社は品質マネジメントシステムの確立に力を入れてきました。現在三つのISOを取得しており、私はISOの事務局も担当しています。評価された事業者だけが使用できる「プライバシーマーク」の認証を取得しています。この認証については私も事務局を手伝ってきました。証の取得については導入の推進委員を務め、早い時期からかかわってきました。FSCとは、森林の生物多様性を守り、地域社会や先住民族、労働者の権利を守りながら、適切に生産された製品を消費者に届けようというものです。近の仕事は品質マネジメントシステムのそれぞれの規格が要求することを社内でどのように展開していくか、そのお手伝いをすることです。幸い、現場のこともよくわかっており、ISOの認証などにかかわってきたので、この仕事は自分に合っていると密かに誇らしく思っています。もともと前に立って「さあ、行くぞ」と人を鼓舞するタイプではなく、だれかに「さあ、行くぞ」といわせるために緻密な計画を立てるほうが私には合っているのです。よりよい職場環境の実現に向け会社の役に立てると思えば自然にモチベーションも上がります。びに、年々リタイアした人が増えています。私はリタイアは先延ばしして、もう少し、大好きな仕事と一緒に日々を過ごしていこうと思います。また、個人情報を適切に取り扱っているとさらに、森林管理の国際規格であるFSC認代表的なものだけをあげましたが、私の最高校時代の仲間と年に一度同期会で会うた高齢者に聞く28歳で入社して製版工務の仕事を25年ほど43エルダー

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