エルダー2024年7月号
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第2回はじめにキャリア面談とはキャリア面談に必要なスキル独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査結果※1によれば、社員の能力開発・キャリア管理のための施策に注力する企業の58・5%が、「管理職によるキャリアに関する部下との個別面談」を実施しています。また、株式会社パーソル総合研究所が2021(令和3)年に実施したアンケート調査※2では、企業に勤める60代の社員が何歳まで働きたいかという設問に、54・1%が「69歳まで」、41・4%が「70歳」あるいは「それ以上生涯働けるまで」と回答しています。働きたいと思うシニア社員の方々が、職場で活き活きと働き、組織に貢献し続けるうえで、キャリアに関する面談の重要性は今後さらに高まると考えられます。「シニア社員を活かすための面談入門」第2回では、上司と部下とのキャリア面談を中心に、必要なスキルの一部をご紹介します。キャリア面談は、社員一人ひとりの自律的なキャリア形成と、中長期的な社員の活躍を実現するための面談です。その人が過去から築いてきたその人らしさ、蓄積してきた知識やスキル、いまの仕事のとらえ方、感じているやりがい、さらに、その人にとってよりよい未来に向かううえでどのような目標を立て、行動に移せればよいか、といったことを話し合います。一定期間における面談相手のパフォーマンスに焦点をあてる評価面談と異なり、面談相手である「人」に焦点をあて、過去・現在・将来にわたる会話をします。面談相手を主役とし、その人とその話に関心を寄せながら、その人のキャリア形成を支援する「支援者」としての姿勢が上司には求められます。ます。例えば「今日はお時間をいただきありがとうございます。〇〇さんが毎月の事務処理を間違いなく進めてくださるので、たいへん感謝しています」といったように、シニア社員の方に対する敬意や、日ごろの貢献に対する感謝の言葉を具体的に伝えます。「自分の仕事は認めてもらえている」と感じられたら、社員の方の気持ちもほぐれ、話し合いやすくなります。また、「今日は○○さんのキャリアについて一緒に考えていくためにお時間をいただきました」といったように、面談の目的を伝え、キャリアについて会話する心の準備をお互いに整えます。もし2回目以降の面談であれば、前回の会話の内容をふり返ったうえで、「今日の面談では○面談を始めるときには「伝える」スキルを使い株式会社パーソル総合研究所 組織力強化事業本部 キャリア開発部高たか橋はし稔とし明あき※1 独立行政法人労働政策研究・研修機構 『労働政策研究報告書 No.196』 「日本企業における人材育成・能力開発・キャリア管理」(2017年)※2 株式会社パーソル総合研究所「シニア従業員とその同僚の就労意識に関する定量調査」(2021年)2024.748面談に必要なスキルとは? 長年の職業人生のなかでつちかってきた豊富な経験や知見を持つシニア社員。その武器を活かし、会社の戦力として活躍してもらうために重要となるのが「面談」です。仕事内容や役割、立場が変化していくなかで、シニア社員のやる気を引き出し、活き活きと働いてもらうための面談のポイントについて、人と組織に関するさまざまな調査・研究を行っているパーソル総合研究所が解説します。シニア社員を活かすためのシニア社員シニア社員シニア社員シニア社員シニア社員シニア社員を活かすためのためのシニア社員を活かすための面談入門

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