エルダー2024年7月号
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柿■■内■■秀■■賢■■ 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン/和■智■右■■桂■■(訳)/リスキリングが最強チームをつくる組織を変える5つの対話組織をアップデートし続けるDX人材育成のすべてリスキリングというと、個人のキャリアアップのために行うものという印象があるが、本書の著者は、いま求められているリスキリングは、しかし企業からは、「リスキリングといっても何をどうすればよいかわからない」といった声や、一口にリスキリングといっても、「生産部門などでデジタル活用をどのように推進すべきか」、「ミドルシニア層のフォローアップをどうすべきか」など、企業の戦略や組織の構造などによってさまざまな課題があるという。本書は、このような組織のリスキリングの課題を解決し、成果を最大化するためのリスキリングのメソッドをまとめた一冊となっている。チームのリスキリングを成功に導く原動力となるのは、「現場のチームをマネジメントするリーダー」であると著者。本書は、この役をになうリーダーの手引書として、求められるリーダーシップやリスキリングを成功させる四つのステップを解説。実際の多くの企業で起こりうる状況や立ちはだかる課題などを、事例を交えたストーリーとともに学べる構成となっている。組織・チームのためのリスキリングを推進する管理職やマネジャーにおすすめしたい。対話を通じてアジャイルな組織文化を創る「対話というものは、自己開示と他者理解を重視して臨めば偉大な力を発揮する」、「対話というものが単なるおしゃべりではなく、スキルを要するものであることを学べば、素晴らしい成果がついてきます」と著者は指摘する。そのうえで本書では、組織内の対話を見直し、改善して対話力を高めることで、迅速な意思決定と主体性を育む即応性の高い組織文化への変革を目ざす実践的な方法を解説する。具体的にはまず、対話による自己開示と他者理解をより高める手法として、「4R」(記録、内省、改訂、ロールプレイ)と「対話診断」を紹介。次に組織変革に向けて、5つの対話ステップ(信頼関係の構築、心理的安全性の確立、目的の共有、コミットメントの構築、説明責任の遂行)を提起する。この5つは、チームが現代的な人間中心の手法を最大限に活用するために必要な要素をすべて扱っているという。5つの要素をどう改善していけばよいのかについて、実例とともに解説し、日々のコミュニケーションを通じて組織内のエネルギーを高めて革新をうながす方法を示している。経営者やリーダーをはじめ、職場風土の改善に関心のある人に手に取ってほしい良書である。「組織を変革するリスキリング」であると明言。Douglas Squirrel・Jeff rey Fredrick(著)、宮■■澤■■明■日■香■・中■■西■■健■■人■・オライリー・ジャパン/1760円2860円2024.756※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示しますチームの新しいスキル習得を先導する、リーダーのための手引書組織内のエネルギーを高めるコミュニケーションの方法とは?

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