エルダー2024年8月号
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ルツールを使いこなせる人と使いこなせない人の間にある社会的・経済的格差のことです。この問題は、組織におけるシニア人材の活用にも関係します。NRI社会情報システム株式会社が実施した会のデジタル化に期待していない」(「あまり期待していない」、「全く期待していない」の合計)と回答した割合は32・7%に及びます。すでにデジタルは社会インフラといえますが、そのことを前向きに受けとめられない層が相当数あります。その理由として、女性で多かった回答は「新しい技術や機器を使いこなせる自信がない」で40・3%(男性17・2%)。男性では「生活が便利になるとは考えにくい」が31・8%(女性巻き込むには、デジタルツールへの「慣れ」と「期待感のデザイン」の二つが課題といえそうです。ルへの接触機会の拡大が欠かせません。実際、同調査では農林漁業や生産業務などの「技能的職業」に従事しているシニア層と比べ、デジタルツールを活用する機会が多いと思われる「管理的職業」に従事しているシニア層のほうが、デジタル社会への期待感が高いことが示唆されています。だれしも不慣れな道具を扱うのは不安です。日ごろからデジタルツールと接点を持てる業務環境の構築が必要でしょう。その際には、デジタルツールを一方的に押しつけるのではなく、ユーザーエクスペリエンス(UX:利用者の体験価値)への配慮が大事です。シニアが快適に使えるように、画面のボタンの大きさや、名称の工夫(わかりにくい横文字ではなく、※2 NRI社会情報システム株式会社「変わるシニア世代の就業意識・行動調査」(2021年)一つめの「慣れ」については、デジタルツー008個人情報が漏洩されるリスクが高くなると思う今の生活に不自由はない監視社会になることが不安新しい技術や機器を使いこなせる自信がない生活が便利になるとは考えにくい人のリアルな交流が少なくなると思う実現には時間がかかると思う特に理由はないデジタル化というものがよく分からないその他男性情報通信業金融業・保険業農業・林業生活関連サービス業・娯楽業宿泊業・飲食サービス業医療・福祉※ 総務省「デジタル・トランスフォーメンションによる経済へのインパクトに関する調査研究」(2021年)を基に筆者作成※ NRI社会情報システム株式会社「シニア世代のデジタル化に関する意識・行動と課題」(2021年)を基に筆者作成女性1017.217.218.018.019.419.418.118.110.210.25.75.74.24.27.47.43.83.81.31.3102030405045.545.534.034.040.840.835.335.328.528.540.340.331.831.823.623.622.722.72019年度から実施実施していない、今後も予定なし304050708053.153.12020年度から実施60(%)50~79歳の3000人への調査※2によると、「社18・0%)でした(図表2)。DXにシニアを90100(%)34.934.932.232.222.722.711.811.83.53.53.03.015.315.310.010.03.73.72.72.717.817.85.45.42.02.012121.91.9202018年以前から実施実施していないが、今後実施を検討9.09.07.17.16.76.75.85.819.719.79.19.113.613.64.54.517.017.032.132.135.735.750.050.066.566.565.865.878.778.760図表1 業種別のDX取組み状況図表2 社会のデジタル化に期待しない理由〈デジタル化に期待していない人に限定〉(複数回答)

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