■■■■■パー」の動きの起点となったのは、一人の定年後継続雇用者のアイデアだったという。それが、主力工場である和歌山工場の工場長を勤め上げ、2019年に定年後の継続雇用として、設立まもない「先端技術戦略室」に移った松■下■芳■さんだ。松下さんは、職場・現場のさまざまな問題の解決策を模索するなかで、ITツール活用のアイデアをつかんだという。松下さんが、初心者でも簡単にプログラムが作成できる、マイクロソフトのローコード開発ツール「PowerApps」に出会ったのが、そもそもの発端だ。解説書を丸々一冊読み込む自発的リスキリングで、職場で使える簡単なアプリの作成に着手した。最初につくったのは、研究所の研究員用の防災確認届けのアプリだった。それまでは、最後に実験室を出る人が「研究機器等の安全確認をすべて完了しました」などと紙ベースで届け出て管理していた。これを、研究員各自のスマートフォンのアプリで届け出をすることができるようにした。実験室に残っているかどうかもリアルタイムでわかり、現場では非常に重宝されたという。ちょうど新型コロナウイルス感染症が流行した時期で、社員同士の接触を減らす工夫をする必要もあったころだ。現在、全社DX推進部先端技術戦略室の戦略コーディネーターを務める松下さんは、「ワクワクしながら楽しく取り組ませてもらっています。職場の課題解決につながり、いろいろな人の役に立つことがとても大切なことを実感しています」とふり返り、ラインの仕事から離れたシニアの仕事には、この〝ワクワク感〟と〝だれかの役に立つこと〟が重要だと話す。「ずっと頭の中にやりたいことがありました。それを実現することができるツールに出会ったときにひらめいて、思いを実現することができました。いろいろな思いや夢をずっと持ち続けることが重要なのだと思います。それがあれば、ちょっとしたきっかけで夢の実現に向けて自分のエネルギーを集中発揮することができます」と話し、「シニアにとっては会社から与えられた環境だけで、自分を奮い立たせるのはむずかしいでしょう。身近な職場・現場の課題を考えて、つねに問題意識を持つことがスタート地点だと思います」と強調する。こうした松下さんの取組みに刺激を受けた社員たちの間に、自発的にシチズン・ディベロッパーの活動が広がり、それを会社側も認知して、サポート体制を整備した。活用といえば、汎用のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や情報通信システムなどを導入して、カスタマイズするケースが一般的で、自分たちでアプリやRPAを作成するシチズン・ディベロッパーの育成に取り組むのは珍しい。草の根的な職場レベルでの活動が活発な社風がなせる技ともいえ、花王の組織としての強みといえるだろう。得性が鍵となる。その意味で、社員が自発的かつ積極的に、職場・現場の課題に取り組む文化があることは、納得性を生み、人財育成がうまく回ることにつながる。企業文化をどのように醸成するかが、その業績や、企業組織の存続に大きくかかわるともいわれている。に話す。「当社では、花王の精神をまとめた企業理念である『花王ウェイ』を、創業以来受け継いできました。「花王ウェイ」を拠りどころとすることで、社員一人ひとりの目線を合わせることが可能となっています。『よきモノづくり』も、基本となる価値観として、みんなが意識しながら、日々の仕事を行っています」一般的に、職場における非IT技術者のDX人財育成で効果を上げるためには、社員の納企業PR戦略部の鈴■木■千■賀■子■さんは次のよう目につくところには必ず、「豊かな共生世界17特集ベテラン社員もDX!エルダー思思いいをを形形にに自自発発的的リリススキキリリンンググがが
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