0年に向けたビジョンを策定し、各種取組みを展開することとしました」(頼委員長)具体的には「健康経営Ⓡ(★)を含めた働き方改革」、「人材育成」、「技術イノベーション」、「DX」の四つの柱を定め、部門横断の取組みとして各委員会を設置した。その一つが「DX推進委員会(発足当初は『業務インフラ刷新委員会』、2022(令和4)年に現名称に変更)」で、社会全体の要望に対応し、微生物を高度に活用することを実現するためのプロセスを考え「フルオーダーメイドの高度化」と、「新たな価値を創造する開発体制」をキーワードに、2050年ビジョン実現に向けた取組みがスタートした。「〝DX〟というと、『自分の仕事が便利になる』、『効率化』というところが注目されがちですが、各部門に向けてはそういった伝え方はせず、策定したビジョンに基づくあるべき姿に向けた全体最適、全社一気通貫を前提にして議論しました。DXを推進するうえでは、システム化するための手間やルールが必要になるので、むしろ仕事が増えます。それでもDXを推進する理由については、経営陣がことあるごとに策定したビジョンと目ざす方向性を示し、何のためにDXをするのか、データ活用の必要性についてくり返し発信し、全社員への浸透を図ってきました」(頼委員長)頼委員長は、一人ひとりがDXを他人事にすると、推進を妨げるという他社事例を見聞きしていたという。そこで社員に説明して理解をうながすだけでなく、比較的取組みの早い段階でだれもが参加する雰囲気を醸成し、社員全員が「自分事」に感じるような仕掛けづくりに意識的に取り組んできた。全体最適、全社一気通貫の業務フローおよび仕組みを検討するにあたり、まず各部にヒアリングを実施して、現状の業務プロセスと課題の洗い出しを行った。営業部の見積り提案から、設計、調達、製造、納品、最後は経理部担当の入金まで、部署ごとに業務の流れをまとめ紙に出力すると、畳2畳分の大きさにもなったという。これにより、一つの案件にまつわる自分たちの仕事の全体像が把握しやすくなり、業務フロー図は多くの社員の目に入るコピー機の横の壁に貼り出した。「このフロー図を見て、全社員を対象に、業務に対する疑問や意見を付箋に書いてもらい、該当する部門・業務の部分に貼りつけてもらいました」(頼委員長)それぞれの社員が抱える意見や疑問を別の部署の社員も見ることになり、目の前の自分の仕事だけではなく、俯瞰的に仕事を理解することにつながったという。ことによって、100項目にも及ぶ課題が見えてきた。その課題をふまえ、DX推進委員会にて、基幹システムとなる生産管理システムの導入に向けた検討を行った。「DXによって実現したい事柄に優先順位をつけて提案依頼書を作成し、複数のベンダー(販売業者)に送り、提案を受けて比較検討しました。当社が特に重視したのは必要十分な機能とサポート、検討期間の短さ、データ活用の自由度です。さまざまなベンダーにすすめられるがままではなく、自分たちで比較検討する項目をつくりDX委員会で導入するシステムを決めまこれにより、新入社員からベテラン社員まで、業務フロー図の作成と全社員から意見を募る★「健康経営Ⓡ」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。頼純英DX推進委員会委員長(左)、谷幹夫製造部生産管理グループ顧問(右)2024.820約約110000項項目目のの課課題題社社員員参参加加でで洗洗いい出出ししたた
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