エルダー2024年8月号
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した」(頼委員長)検討により導入した生産管理システムだが、当初は大きな苦労があったという。「まず部品一つとっても、同じ社内なのに人によって呼び方が微妙に違うことがありました。そこで部品の呼び名を統一しマスターデータ化に取り組みましたが、膨大な検討項目や作業が発生しました。また、売上げデータなどを旧システムから移行する際は、数字が合わないこともあり、チェックに時間がかかるなど、DX委員会の生産管理システム立上げメンバーはかなり苦労しましたが、みんなで前向きに取り組みました」(頼委員長)生産管理システムと連動して同時にオンライン発注システムを導入した。約120の主要協力会社には経営者が高齢化した零細企業もあったが、ちょうど新型コロナウイルス感染症が流行し始めた時期にあたり、オンラインのやりとりが必須の雰囲気があったことから、調達部門が協力会社に「一緒に少しずつDXを実施していこう」と声がけして協力を得た。最終的には9割以上の企業の承諾を得てオンラインの発注に切り替えることができた。オンライン発注に切り替わって、誤認識や注文情報を再入力する手間が削減(月間400時間)し、ペーパーレス化、通信費の削減を実現。その後、生産管理システムと連動した顧客情報共有システム、図面・文書管理システム、在庫管理システムなども導入し、成果として3年の間に21ものシステムツールを導入した。「生産管理システムを入れる前に、だれもが利用しているSNSのビジネス版を活用し、社内連絡を掲示板に投稿して閲覧をうながし、デジタルに慣れてもらってデジタル化の不安を払拭したことも効果があったと思います」(頼委員長)なお、フジワラテクノアートが導入したシステムは、すべて既存のパッケージ商品だそうだ。ゼロから開発すれば自社に合わせて便利で使いやすいものにはなるが、そもそもパッケージはさまざまな企業の意見や使い勝手が集約されて完成した、いわば標準仕様であると考え、システムに合わせて自社の業務の方法を変えることにしたそうだ。アップデートによるトラブル回避のため、極力カスタマイズをせず、設定変更が可能な範囲において反映できることがないかなども調査しながら、運用を行っているという。会が中心となり社内で検討を重ねながら推進したDX。特別なノウハウがないため、スタート時は苦労が続いたが、取組みを継続するなかで、DX推進委員会を中心に「やればできる」と自信がついた。成果が数字などで目に見えるのもやりがいになったという。また、副次的な効果としてITに興味を持ち自主的に資格取得などの学習に取り組む社員が増加した。IT関係の資格保有者は2018年は1人だったが、2023年には資格取得者や実務での実践者が延べ21人になるなど、DXが社内に与えた影響は大きい。X推進委員に選ばれ、その業務でエラーとデータ抽出に試行錯誤をくり返しながら、いまではプロ顔負けにプログラムを自在に組めるまで技術を高めた。社外のコンサルティングに頼らず、DX委員ITの知識がゼロだったある若手社員は、D業務フローの洗い出しを行った畳2畳大のフロー図21特集ベテラン社員もDX!エルダー社社員員ののDDXXボボトトムムアアッッププ効効果果基基幹幹シシスステテムムととななるる生生産産管管理理シシスステテムムをを導導入入

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