と、その影響が周囲に波及し、うまくいかなくなると考えた。なかには「自分にはできない」と泣きながら訴える従業員もいたそうだが、ルールに則って仕事をしてもらえるよう、困っている従業員のためのサポート役を決めて、フォローを行うことも徹底した。サポート役の従業員は、はじめからその担当として役割をこなしていたというわけではなく、元々、同じ質問をくり返しされても、いやな顔をせず応えている若手従業員がおり、わからないことがある人は、だんだんその従業員に聞きにいくことが増えていたという。そこで、その従業員に負担がかかりすぎてはいけないと思い、みんなが慣れるまでのサポート役をになってもらうこととし、評価制度でそのことをプラスに評価することにした。そのうちサポート役の従業員は手順がわかる写真を貼ったり、苦戦していた従業員たちもそれを写真に撮るなどの工夫をしながら陣屋コネクトの使用を続け、2年半ほどすると全員が問題なく使えるようになっていたそうだ。一方で、陣屋コネクトをより使いやすいツールへとカスタマイズしていくため、現場の声とニーズを把握し、柔軟に改善も行ってきた。例えば、音声認識ツールを使用して、広大な敷地のどこにいても、館内などの状況を即時に共有できるようにするため、当初は従業員が携帯するタブレット端末とトランシーバーを併用していたが、それでは音声をテキストで記録に残すことができないなどの課題があり、新たな仕組みの導入を検討。その結果、トランシーバーではなく、タブレットにインターカム(以下、「インカム」)を通して発話すると、その声がテキストに自動変換され、即時に共有できる新たなアプリを導入することにした。この仕組みの導入当初は、高齢従業員から、「インカムの使用は、お客さまに失礼になるのでは」という声があがった。しかしインカムは、公共施設などでも使用されている例があることなどを説明し、一斉に切り替えると、2週間ほどで全員が慣れたという。このツールでは、1人が発信した情報が瞬時に多数の人に伝わるため、以前のツールより断然便利なことが使い始めてすぐにわかったからである。使用できるようになる2年半の間には、デジタルスキルの習得に向き合う従業員のモチベーションを高めるできごともあった。極的で向上心のある70代の従業員は、すぐにシステムの使用方法を習得。タブレット端末を使って仕事をする高齢者ということが話題となり、メディアで取り上げられると、それを目にしたお孫さんから、「すごいね、おばあちゃん」といわれ、とても喜んだそうだ。陣屋コネクトを展示会で発表したり、自治体などが主催する表彰制度に応募したりして、メディアでの露出機会を増やしていくと、それが従業員間はもちろん、宿泊客や取引先の間でも話題となった。陣屋コネクトの導入から全従業員が問題なく年齢が高くても、新しいことを覚えるのに積そこで同社は、積極的に取材を受けるとともに、100年の伝統を持つ元湯陣屋 (写真提供:株式会社陣屋)25特集ベテラン社員もDX!エルダー新新たたななツツーールルももススムムーーズズにに導導入入便便利利ささをを一一緒緒にに実実感感すするるここととででおお客客ささままササーービビススがが向向上上陣陣屋屋ココネネククトトをを通通じじたた情情報報共共有有でで
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