エルダー2024年8月号
4/68

生活設計の土台となる公的保険制度を知りそれをベースに老後の生活設計を山中 個人のお客さまのライフプランの設計をはじめ、法人の企業型確定拠出年金(DC)などの退職金制度や福利厚生施策づくり、従業員向けの投資教育などの資産形成を応援する仕事などに長年たずさわってきました。そのほか、私が立ち上げた一般社団法人公的保険アドバイザー協会では、金融機関に勤務している人向けに国の制度について教育する仕事もしています。公的保険制度は複雑ですが、ライフプランにおけるすべての土台です。日本にはベースに生活保護などの公的扶助制度、貧しくならないための公的年金などの社会保障制度があり、その上に自助努力による資産形成などの仕組みがあります。本来は国が保障する制度をベースに老後設計を考えるべきですし、ベースを知らなければいくらお金があっても足りません。金融のプロに国の保障制度を勉強してもらうのが協会の役割です。山中 必要なお金は自分でつくる」のが原則的な考え方です。よく「年金では足りない」といわれますが、そもそも年金は何もしないで暮らせる生活を約束しているわけではなく、現役時代の所得の5〜6割を保障する仕組みになっています。また、公的年金制度ができたころの男性の寿命は70歳弱で、当時主流だった55歳定年後の老後は10年程度であり、年金以外の退職金や貯蓄でなんとか生活できたわけですが、人生100年時代では60歳を定年とすると、あと40年もあるのです。一方、国は企業に高齢者の働く場所を提供し、賃金を保障するように求めています。で人生100年時代は、「自分の生活にも企業にすれば義務や努力義務があるといっても、会社に来るだけで貢献もしない人に給与を払うのは納得いかないものでしょう。ライフプランセミナーで、60歳定年後も継続雇用で働く人に年収をたずねると、あたり前のように年収400万円、500万円という回答を聞くのですが、それは本当に自分の働きに見合った金額なのか、その金額にふさわしい貢献をしているのかを考える必要があります。のに、65歳、70歳までとゴールが長くなり、戸惑っていらっしゃる方もたくさんいます。しかし、経営陣からすれば「その人の経験・知識を後輩に伝えてほしい」、「会社にもっと貢献してほしい」と思っているのです。ゴールが遠くなり、モチベーションのコントロールができない人もいると思いますが、60歳で1回リセットし、次の10年、15年を自分はどう生きていくのか、100歳までの時間を区切りながら計画を立てることが大切です。自分なりのやりがいや存在意義を見出し、働く側、雇う側の双方が意識を高く持って働き続けることが、いま求められています。たしかに60歳定年で終わりだと思っていた―山中さんは、ファイナンシャルプランナーとして、また一般社団法人公的保険アドバイザー協会の理事としてもご活躍されています。具体的にはどのような活動をされているのですか。―人生100年時代を迎え、就業年齢が長くなるなかで、資産形成を含めてどのように生きていくべきだとお考えでしょうか。ついてはどのように考えればよいでしょうか。――そのうえで老後の生活のためのお金にファイナンシャルプランナー一般社団法人公的保険アドバイザー協会 理事山中伸枝さん2024.82 

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る