エルダー2024年8月号
41/68

もあり、67歳で退職となった。再就職先を探すなかで、「東京キャリアトライアル65」という、働く高齢者の活躍の場を広げることが目的の東京都の事業に出会った。経験が活かせる天職との出会いチャレンジ精神をいつも心に秘めてでした。気がつけば57歳になっていました。当時は60歳定年で、57歳になると60歳以降も雇用延長するか、退社するかを決めなければなりません。そこで選んだのがまず人事系のキャリアコンサルタントの資格を取ること。1年かけて資格を取ってから人事部に相談し、あらためて採用の仕事をさせてもらうことになりました。雇用延長して67歳まで教育研修のプログラム開発の業務に従事しました。この経験が第二の人生に踏み出す力になりました。SNSで「東京キャリアトライアル65」を知り、紹介してもらったのが現在の職場です。いまは「シニアエキスパート事業部」でクライアント企業の人材育成をサポートしています。具体的には、その企業が採用している人事制度をチェックして、問題点、あるいは課題を洗い出し、適切な対処法をお伝えするというのが私の仕事です。とてもやりがいのある部門で働かせてもらえていることに感謝しています。もちろん最初は私に何ができるか不安でいっぱいでしたが、入社する前の2カ月間のトライアル期間中にこれまでの人生の「棚卸し」をサポートしてもらったことが大きな力となりました。「棚卸し」とはこれまで私が重ねてきた人事関係の仕事の経験やスキルを「見える化」する作業でした。これまでやってきたことを拾い出し、それをもとにヒアリングをくり返してスキルを洗い出していきます。なかなかたいへんな作業ですが、気がつけば自分のセールスポイントが明確になっていきました。この「棚卸し」という作業は高齢者の再就職にとても有効ではないかと思います。次の一歩を踏み出せるよう背中を押してもらいました。会社との契約は、案件ごとの業務委託です。いまは、ある上場企業の人事制度の改革推進をサポートしています。その会社の本社が名古屋にあるので頻繁に名古屋に出かけて、マネージャーの研修などを行っています。格を取ったことから私のキャリアチェンジが始まりましたが、資格を取ってから10年近く採用や人材育成の仕事をしたことがいまの仕事におおいに役立っています。とはいえ、新しい案件への対応には不安もありますが、会社の営業ディレクターが案件ごとのミーティングに同席してくれるので心強いです。現在6人のシニアエキスパートがおり、それぞれが専門知識を最大限に活かしながら「活きる事例」としてお客さまをサポートしています。お互いに助け合う風土のなかで、仲間たちがアシスタントを引き受けてくれることもあり、とても助かっています。一口に専門知識といっても広範囲ですが、私が専門とする人材開発はどの企業にとっても課題であるため、必要とされていることをうれしく思います。が、さまざまな経験を重ねるなかで、チーム全体がよくなっていく方向を目ざすべきだと思うようになりました。若い人の意見も素直に聞けるような気がします。この仕事を始めて2年半ですが、まだまだ自分には「伸びしろ」があると密かに自負しています。現地に出かけることもあればWebでの会議もあります。オフの日は何をしているかというと、いくつか趣味がありまして、一つは畑仕事です。八ヶ岳の麓■に畑をもって20年ほどになりました。また、前職時代から建築物を見て回るのが好きで、いまは「東京建築ウォッチングツアー」というのを主催して、月に一度遠足気分で仲間たちとウォッチングを続けています。たので、最近はほとんど機会のなかった森林浴を始めてみようかと思っています。仕事も趣味もチャレンジあるのみです。若いときは自分のプライドを優先しました働き方としては週3日勤務程度でしょうか。かつて森林セラピストという資格を取得し■■70歳まで働くつもりが、コロナ不況の影響高齢者に聞く57歳のときにキャリアコンサルタントの資39エルダー

元のページ  ../index.html#41

このブックを見る