〝学び直し〟から新たな道へ同社の研修には「年齢制限を設けているプログラムが少ない」というのも特徴だ。中高年齢層も、若手と同じ研修プログラムを受けることができるのが大きなポイント。以前は、年代によって受講できないプログラムもあったが、会社として方針を転換し、現在では、学び方改革プログラム、社内EKKYOも社外越境体験も全世代対象で、年代を問わず参加することができる。近藤グループ長は、シニア層を対象とした研修について、一般的に退職を視野に入れた内容、退職を促進する内容が多い点を指摘し、「ミドル層、シニア層の社員もエーザイにとってきわめて重要な人的資本。現在のミドル層、シニア層の人たちが最後まで働いて、輝き続けるためにも、若手と同じ研修を受けていただく。そういう発想で進めています」と、強調した。年齢制限を廃した、積極的な〝学び直し〟の推進は、ミドル・シニア層の新たなチャレンジにもつながっている。入社以降、営業部門で活躍してきたAさんは、トをテーマとした研修を受けたことをきっかけに、定年後も続くキャリア形成について考えるようになった。学び直しにも積極的になり、新型コロナウイルスの感染拡大で外出を制限されていた期間は、英語の学習などに取り組んだ。そんなAさんの目に飛び込んできたのが、国際的に活躍したいと考えている社員に向けたグローバルリーダーシップ開発プログラム。公募選抜式のプログラムだが、ほかの研修と同様、参加者の年齢制限は撤廃されている。Aさんは募集に応じて参加し若手社員とともに課題に取り組んだ結果、希望していた国際業務部門に、グローバル人材として配属され、いまも挑戦は続いているという。医薬情報担当者(MR)のBさんも、同じくきっかけに、新たなチャレンジを始めた1人だ。Bさんの場合、〝学び直し〟の場として選んだのは社外越境のitteki。さまざまな地域、業種の人たちと切磋琢磨し、課題解決について考え、学び合うことで、視野を広げた。研修終了後、Bさんがチャレンジしようとしているのが「医薬品を受け取れず困っている人たち」に向けた取組みだ。ドローンを使って医薬品を届けるビジネスについて考えており、ドローンの免許を取得するための勉強も進めているという。こうしたベテラン人財の新たなチャレンジについて、近藤グループ長は、「人生100年時代、エーザイに所属している期間というのは、本当に道の半ばであって、人生のなかのごく一部です。そう考えると、どの年代にとってもリスキリングは必要です」と話す。続けて「自分が最期を迎えるときに、自分がどんな人間でありたいかというところを目ざし、人は生き抜いていかなければならない」と、現在の仕事を、自分が目ざす人間像につなげていくためにも、チャンスに即応できるよう、つねにリスキリングが必要だとの考えも強調した。ミドル層やシニア層の〝学び直し〟をめぐっては、今後さらなる雇用延長の可能性もあり、そのニーズがより高まることも予想される。近藤グループ長は、「組織長などが中心になり、学び直しに対するモチベーションを高めるような活動をしていきたい」と話し、会社全体の、〝学び直し〟の機運をさらに高めていく構えだ。50代後半で「人生100年時代」のライフシフ50代後半でライフシフト研修を受講したことを43エルダー〝〝学び直し〟50代からのチャレンジも
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