エルダー2024年8月号
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就業規則に延長可能である旨の規定がある場合は、当該規定に基づき延長することが可能です。また、規定がない場合には、当該労働者との間で個別に合意を締結することで延長は可能と考えられます。当社の従業員で、私傷病の治療で長期にわたり休職している労働者がいます。治療の成果が出ているようですが、勤務可能な状態になるのが就業規則で定める休職期間の1カ月後の予定のようです。可能なかぎり復帰させたいと考えていますが、このような場合に個別に休職期間を1カ月延長することは可能でしょうか。私傷病で休職している従業員について、就業規則で定めている休職期間を延長してもよいのですか伝えていく方が適切でしょう。また、そのような期待を生じさせてしまっているような場合には、前述の通り一定の期間をもって評価を行い、そのフィードバックにおいて、更新1一般的に、就業規則においては休職の規定が定められていることが多いです。例えば、厚生労働省が公表しているモデル就業規則を例にとると、業務外の原因による疾病や傷害(いわゆる「私傷病」)に基づく休職措置を前提としています。することがむずかしいということを可能なかぎり早期の段階で伝えておかなければ、紛争を回避することが困難となるでしょう。なお、業務上の傷病が原因である場合は、労災補償の対象となるほか、当該業務上の傷病に基づく休職中については、解雇が制限されています(労働基準法第19条1項)。そのため、業務上の傷病に基づく休職については、就業規則に定めた休職期間とは無関係に、療養のための休職期間を認める必要があります。就業規則に定めることが一般的となっていますが、業務外の傷病を原因とする休職という制度については、労働基準法をはじめとして法令に具体的な定めはありません。そのため、休職に関する規定については、企業が裁量的に制度設計する余地が大きく残されています。高裁平成28年10月6日判決)においても、「休職制度の制度設計、運用については、基本的に使用者の合理的な裁量に委ねられているものと解される」と判断されており、私傷病について、そもそも休職制度を採用するか、制度を採用するとしても当該制度をどのように設計するかについては、企業の合理的な裁量の範囲で定めることができます。2休ても「傷病が完治するまで会社に在籍し続けることができる制度」と考えられているかもしれません。て治癒していない場合(休職前の従前の職務に戻ることができない場合を意味することが多いです)には、当然に退職となるという制度設計をされ、治癒しないかぎり復職できない制度になっていることが一般的です。とき、労働者は、労働契約における最も基本そのため、例えば、Y保険会社事件(東京職制度は一般的になり、その趣旨についしかしながら、休職期間の満了時点におい私傷病により労務の提供ができなくなった休職制度の趣旨についてQ2休職制度の位置づけ2024.846A

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