エルダー2025年1月号
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2025.110る場合は、現役社員と同様に導入したほうが理にかなっています。現役から一部軽減(②)し、週20〜30時間勤務とする場合は、「A:1日あたりの勤務時間を減らす」、「B:1週間あたりの勤務日数を減らす」、「C:勤務時間・勤務日数の双方を減らす(AとBの両方)」の三つが考えられます。なお、これらを導入する際には、「社内の連絡窓口業務は、丸1日対応できないと業務に支障が生じる」など、業種や部署の業務特性に応じて適用可能な区分を検討します。現役から大幅軽減(③)し、週10〜16時間の勤務とする場合は、②と同様のA〜Cを検討します。この場合の注意点は、勤務時間が1週間に20時間未満となると社会保険の加入要件を満たさなくなるという点です(2024年12月1日現在。導入の際には法律の専門家にご確認ください)。シニア社員の戦力化で競争力強化シニア社員の戦力化で競争力強化7高齢化が進む日本において、労働力に占めるシニア社員の割合は増加します。そのなかで、シニア社員を戦力化し、企業全体の労働力を増やすことは、競争力の強化につながります。足元で差し迫った人材不足の環境にない企業においても、将来を見すえた対応が重要となります。ト)業務や、現在は外部委託している特殊な公的資格が必要な業務の内製化があげられます。職務開発を実施する際には、上記の枠組みに当てはまる業務をリストアップし、経営層や現場へのヒアリングで見込まれる効果や必要性を確認します。その結果をふまえて、リストアップした業務を精査します。ここで確認が必要な点は、シニア社員の活用は労働力不足に対応するために実施している、ということです。そのため、シニア社員に適した職務をつくるために、外部委託している定常業務を内製化するなど、必要性の低い業務を創出しては本末転倒といえます(ただし、労働力が充足しているなど、目的が異なる場合はこのかぎりではありません)。シニア社員に認める勤務パターンシニア社員に認める勤務パターン【量の観点】【量の観点】6業務量の観点からは、どのような勤務パターンを認めていくか、が論点となります(図表4)。現役並みに働く(①)場合は、現役の社員と同じ取扱いとします。したがって、週40時間で、1日8時間・週5日間勤務となる形が一般的と考えられます。なお、①の趣旨は、現役と同様の取扱いをすることであるため、変形労働時間制やフレックスタイム制度などを取り入れてい図表4 シニア社員に割り当てる業務の量パターン①現役並み■ 勤務時間は週40時間を想定 □8時間/日×5日パターン②現役から一部軽減■ 勤務時間は週20〜30時間を想定 □4時間/日×5日(勤務時間を軽減) □8時間/日×3日(勤務日数を軽減) □6時間/日×4日(勤務時間・日数を軽減)パターン③現役から大幅軽減■ 勤務時間は週10〜16時間を想定 □3時間/日×5日(勤務時間を軽減) □8時間/日×2日(勤務日数を軽減)  □4時間/日×3日(勤務時間・日数を軽減) ※社会保険に加入できなくなる懸念ありシニア社員に認める勤務パターン※三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が作成

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