エルダー11特集65歳以降も働ける職場のつくり方はじめにはじめに12021(令和3)年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、70歳までの就業確保措置が企業の努力義務となりました。企業には65歳以降も社員が働き続けることのできる制度や環境の整備が求められていますが、令和5年「高年齢者雇用状況等報告」によると、70歳までの就業確保措置を実施している企業は約3割にとどまっています。今後さらに高齢者雇用を推進していくために、各企業において多様で柔軟な勤務制度の導入が求められており、本稿ではその留意点などを解説します。多様な勤務制度の概要多様な勤務制度の概要265歳以降の就業を推進するために、体力の低下や病気の治療、家族の介護などさまざまな事情を抱える高齢者が働き続けられるように、下記のような多様で柔軟な勤務制度を導入することも有効だと考えられます。(1)短日・短時間勤務制度短日・短時間勤務制度とは、1日の所定労働時間や週または月の所定労働日数を短縮する制度です。例えば、育児・介護休業法では、子育てや介護などを理由にフルタイムで働くことがむずかしい労働者をサポートするために、次の「短時間勤務制度」の導入を事業主に義務づけています。①3歳になるまでの子を養育する労働者のための所定労働時間の短縮措置 1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとする※。②要介護状態にある対象家族を介護する労働者のための所定労働時間の短縮措置次のいずれかの方法により短時間勤務制度を講じなければならないとされています。(ア)1日の所定労働時間を短縮する制度 (イ) 週又は月の所定労働時間を短縮する制度※ 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則第74条第1項株式会社田代コンサルティング 代表 社会保険労務士 田た代しろ英えい治じ多様で柔軟な勤務制度導入のポイント多様で柔軟な勤務制度導入のポイント~短日・短時間勤務制度等の~短日・短時間勤務制度等の 多様で柔軟な勤務制度を導入するうえでの留意点~多様で柔軟な勤務制度を導入するうえでの留意点~解 説解 説 その上で、例えば1日の所定労働時間を7時間とする措置や、隔日勤務等の所定労働日数を短縮する措置などをあわせて設けることも可能であり、労働者の選択肢を増やすことが望ましい。
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