エルダー2025年1月号
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エルダー13特集65歳以降も働ける職場のつくり方れません。一方、彼らの上司や同僚からも、高齢者に対する期待などを聞き、職場のニーズと高齢者のニーズを結びつけることも必要となります。(3)高齢者に負担のかからない職場環境をつくる高齢者をはじめ、だれもが働きやすい環境を整えることは円滑な作業が行えることにつながり、⽣産性の向上や利益に影響します。それには、高齢者の強みを活かし、彼らに起こりがちな弱みを補うことです。高齢者の通勤負担軽減のためには、テレワーク(在宅勤務など)やフレックスタイム制度、時差出勤なども有効な手段です。また、高齢者は身体能力・体力ともに低めであることから、⻑時間労働や連続勤務を避けるなど、無理のない勤務制度とすることも大切です。これまで以上に一人ひとりに有効な勤務制度を考えていくことが求められます。高齢者に向けた短日・短時間勤務高齢者に向けた短日・短時間勤務制度導入の留意点制度導入の留意点470歳までの就業機会の確保を進めるためには、高齢者の多様性を考慮して、安全・健康対策を講じて労働災害を防止しつつ、彼らの事情やニーズをふまえて柔軟に働ける勤務制度を導認識すべきです。また、新しい仕事に挑戦したり、新しいことを学んだりする意欲が低下する高齢者も出てくる可能性があります。このように働き方のニーズが多様化するのが高齢者の特徴です。高齢者のなかには年齢とともに体力が低下したり、これまでと異なる働き方を希望する人が見られたりするなど、さまざまな面で多様性があらわれます。(2)高齢者や職場の事情や思いを知る改正高年齢者雇用安定法による就業確保措置の対象年齢は70歳までとなり、個々の高齢者のニーズは多岐にわたることが考えられるため、労使による十分な協議を行って取り組むことが望まれます。収入やキャリアを目的に働いている高齢者もいますが、傾向としては家計の足しとして働きたい、空いた時間を有効に使いたいという人も多く、また趣味の時間も取りたいので、ある程度プライベートの時間も確保したいという人もいます。そこで、職場の管理者や人事担当者が多様な高齢者の一人ひとりの思いを聞いてみることも必要です。実際に、通院や家族の介護、自治会役員の活動や自身の趣味などで仕事以外にあてる時間を増やそうと考えている人もいるかもし入することが求められます。なかでも、高齢者の働きやすさの観点から有効と考えられる「短日・短時間勤務制度」の導入を検討する際の留意点等について、解説します。(1)短日・短時間勤務制度の内容の整理短日・短時間勤務制度には、以下のような種類があります。まず、高齢者に導入する場合、これらのいずれをベースとするのかを検討する必要があります。①短時間勤務制度(ア) 1日の所定労働時間を短縮する制度例:1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置(その上で、1日の所定労働時間を5時間または7時間とする措置)など (イ) 週または月の所定労働時間を短縮する制度 例:1週間のうち所定労働時間を短縮する曜日を固定する措置②短日勤務制度(ウ) 週または月の所定労働日数を短縮する制度(隔日勤務や特定の曜日のみの勤務等の制度をいう) 例:週休3日とする措置

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