エルダー2025年1月号
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2025.120どを前提に仕組みをつくりました。会社から細かい指示が必要ないレベルの業務を任せています。所用がなければ出社する必要がなく、自分の好きな時間に、好きなように活動ができ、持っている人脈が活かせます。エージェントの方々はやる気のある人たちばかりです。ある程度、自己完結ができる業務ということは、逆にいえば『仕事が相当程度できる』という前提ですので、安心して任せています」(進士課長)齋さい京きょう章ふみ隆たかさん(67歳)は、65歳で再雇用を終えてからも、引き続き売買仲介の営業として活躍するエージェントの一人だ。30歳で同社に入社し、個人向け不動産売買仲介の営業職をスタートさせた。43歳のときに課長に就くと、東京都・神奈川県内の個人向け不動産売買仲介店舗を任され、最前線で指揮、管理をになった。50代に入り役職を降りてから定年までは、つちかったノウハウを活かし、営業マンとして最前は当社と業務委託契約を締結し、自己完結できる範囲の業務を担当してもらっています。2024年10月現在、エージェントは30人おり、健康であれば70歳を超えた人材も元気に活躍中です」と経営管理本部人事部人事課の進しん士じ剛たけし課長は話す。エージェント制度では、営業職と事務職の二つの職務を用意している。営業職は、売買仲介営業の顧客紹介がおもな業務となっており、情報提供後の契約などの業務は同社の社員が行う。エージェントには契約成立時に手数料の一部が紹介料として支払われるほか、月々の活動費を支給する。毎月、活動費があることから、年間を通して一定の紹介の実績がなかった場合は翌年の契約更新は行わないものとしている。事務職の場合は、不動産事業の定型業務の範囲内の業務を担当する。一例が、契約前の物件の法的な制限の有無などの調査業務である。調査一件あたりにつき報酬を支給しており、エージェントが行った調査内容をもとに、社員が重要事項説明書を作成し顧客に提出する。調査業務自体は不動産業界では一般的な業務であり、特別な業務依頼ではない。件数にノルマなどはなく、自身の都合に合わせて、稼働すればよいという仕組みになっている。「いずれもフリーランスに適用される法律なかれ、一般社員は元の職種を継続する場合が多い。管理職に就いていた社員は役職を降りるため、本人の適性、得意分野に応じて営業(準営業含む)、あるいは事務を担当する。勤務形態は週4日、または週5日から選択可能となっているが、3分の2が週5日を選択しているという。再雇用社員の人事考課は半年ごとに行われ、職種ごとにランクを設け、評価に応じてインセンティブが支払われる。営業職として働く再雇用社員のなかには、定年前と同等のインセンティブを受け取る人もいるそうだ。「営業経験が長く、高いポジションに就いていた方などは特に人脈が豊富です。学生時代の同級生や知人、仕事を通じたつき合いも含め、不動産のお取引に関する、さまざまな情報やニーズを独自のルートを通じて得ているのだと思います」(市川課長)指揮命令なしの成果報酬型指揮命令なしの成果報酬型6565歳以降も無理なく働ける業務委託制度歳以降も無理なく働ける業務委託制度同社では、2019年4月、65歳で再雇用の年齢上限を迎えたシニア人材を対象とする「エージェント制度」を導入した。「エージェント制度は雇用ではなく、65歳以上の人材に業務委託で就業機会を持ってもらうための制度です。再雇用契約の終了後、希望者エージェントとして働く齋京章隆さん

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