エルダー2025年1月号
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エルダー21特集65歳以降も働ける職場のつくり方り、にない手に不足はないことから、引き続き役職定年制を継続している。「ただし、役職定年を廃止したからといって、課長職全員が定年まで役職者ということはなく、60歳の定年を迎える前に評価が下がれば降格することもありますし、優秀な若手がいれば登用していくことが大前提です。また、役職定年によるモチベーションの低下も懸念事項の一つでした。当社の場合、比較的早い年齢、30代半ばころに管理職に就く人もいるのですが、そこから20年間管理職として働き、55歳を迎えてから、再び担当者として活躍するのもハードルがあります。さまざまなことを鑑みて、役職定年の廃止に舵を切りました」(進士課長)定年後の業務ギャップに向け定年後の業務ギャップに向け4040代からリスキリング研修を実施代からリスキリング研修を実施同社では、2032年には60歳以上の社員が、現在の約3倍にあたる約240人ほどに増加すると試算している。そのうちの半数ほどが元管理職になる見込みだ。定年後再雇用になってから業務で苦戦するのは、元管理職であるケースが多いという。「ずっと管理職でマネジメント業務をになってきた人にとって、定年後再雇用でマネジメント業務から離れ、一担当者として業務を行う場線で活躍してきた。「いまでも、20~30年以上前に取引をされたお客さまから指名されて依頼を受けるときがあるのですが、とてもうれしく、モチベーションの源になります。人とのつながりが大切な仕事ですから、年賀状や暑中見舞いは欠かさず送り続けています。お客さまの喜ぶ顔を見るのがやりがいです。これからも働き続けたいと思っていますので、健康には気をつけ、しっかり運動をして、美味しいものを食べ、好きな音楽を聞き、あちこちの温泉に行って元気を養っていきたいですね」(齋京さん)課長職の役職定年制を廃止し課長職の役職定年制を廃止しミドル層の将来不安を払拭ミドル層の将来不安を払拭同社では、2024年に課長職を対象とした55歳での役職定年を廃止した。実態として、課長職のにない手不足から、8割以上の課長職が55歳を迎えた後も、役職定年を延長して職務をになっていたという背景がある。一方で、40代の管理職のなかには、役職定年後のやりがいに関して不安を口にする人が増えていたという課題も生じていた。役職定年後も役職を延長している実態とミドル層の役職者たちの不安をくみ、課長職の役職定年廃止にふみ切った。ただし、部長職についてはポスト数がかぎられてお合、ギャップが生じるので、管理職の定年後を見すえたリスキリングは大きな課題と考えています。管理職として働いてきた実績があるので、もちろん高い能力はあるのですが、再雇用後もその能力がそのまま活かせるわけではありません。社内のシステムもどんどん刷新されていきますし、展開するサービスも変化していくので、そこに対応し活躍し続けてもらうためにも、リスキリングは重要です」(進士課長)そこで、同社ではリスキリング研修を40代から希望制で行っている。また、キャリアデザイン研修を、40代初めと50代初めの2回実施している。高齢期のキャリア形成を考え始める年として40代に1回目を設定し、「キャリア形成の考え方」を知ってもらう機会としている。50代で行う2回目の研修では、定年後の再雇用制度やエージェント制度といった社内制度や、年金などをテーマに、外部講師を招いて実施する。「キャリアデザイン研修は全社員が対象です。40代の社員の場合『まだまだ先のこと』と自分事としてとらえられない社員もなかにはいますが、50代になると『定年後の自分の人生を考えるうえで参考になった』と好評です。情報開示をしっかり行ったうえで、安心して働き続けほしいというメッセージになっていると思います」(進士課長)

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