エルダー25新春特別企画①「令和□6□年度 高年齢者活躍企業フォーラム」基調講演が最も高く20・1%。韓国も15・3%と高いのですが、そのほかの国は高くても5%台となっています。日本は、就業意欲の高いシニアが多い傾向にあり、実際に、すでに60代後半でも半数以上の人が働いています。 これまでの会社は、男性が年功的にピラミッド型で働いているというイメージでしたが、いまはシニアも含めて多様な人々がともに働くという、いわゆるダイバーシティ時代が到来しています。人を活かす経営の考え方も、変えていく必要があると思います。ミドル・シニアを活かしきれていない企業日本企業や社会はミドル・シニアを活かしきれていない、という問題意識を私は持っています。50代以上の働く人々を対象とした、仕事やキャリアに関するアンケート調査※2によると、「現在の仕事のモチベーション」について、キャリアのなかで一番モチベーションが高いときを「5」だとすると、現在は「5」と回答したのは残念ながら全体の3・4%に過ぎませんでした。50代以降のモチベーションは、そう高くはないのです。 その理由を見てみると、50代後半では「求められる役割が変わった」が最も多く、60~65歳では「給与が下がった」が最多となっています。ほかにも「やりたい仕事ができなくなった」も多くなっています。経営者や人事は、「シニア本人に見合う仕事、あるいは役割を任せているか」ということを考える必要があると思わされる調査結果です。 また、シニア就業者の意識・行動の変化などを聞いた調査※3では、高齢期に働きたい理由について、1位は「働くことで健康を維持したいから」、2位は「収入」、5位は「仕事を通してやりがいを得たいから」です。60歳までと71歳以上と比べてみると、71歳以上は1位と5位が5倍に伸びています。このあたりが、シニアを活かす重要なヒントになるのではないでしょうか。 いま、国をあげてミドル・シニアのリスキリングを推進しています。リスキリングとは、経済産業省の定義では「新しい職業に就くために、あるいは、いまの職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する・させること」となっています。 私は前職のリクルート時代に、『ケイコとマナブ』という雑誌の編集長をしていたのですが、「学ぶことは楽しい」ということを伝えていくことをコンセプトとしていました。一方でリスキリングの定義はどうでしょうか。私はリスキリングに対して、抵抗感を抱いている方が多いような印象を受けています。なぜかと考えると、経済産業省の定義は、主語が働き手側ではなく、政府や企業になっているからです。また、「これまでのスキルは使えません。だから新しいスキルを身につけましょう」と、ミドル・シニアのプライドを傷つける印象があることもその要因ではないでしょうか。 ただ、希望の持てるデータがあります。雇用者にかぎらずに働いている人々を対象に、仕事に満足している人の割合を1歳ごとに調査した、リクルートワークス研究所の調査※4によると、仕事に満足している人の割合が底なのは「50歳」なのです。そこから加齢とともにじわじわと数値は上がり、「75歳」で仕事に満足している人の割合は、50歳の1・7倍となっています。 50歳と75歳の方々の働いている状況を比較すると、50歳では、就業形態は正社員が多数で、高年収の方も多い一方で、長時間労働が比較的多くなります。75歳では、就業形態のトップは自営業で、年収は高くないのですが、働いている時間が短くなります。 自営業という働き方も大事なポイントです。シニア期に独立された方にお会いすると、とても活き活きとされています。自分のやりたいこ※2 株式会社日本能率協会マネジメントセンター「50代以上のビジネスパーソンに聞く『仕事やキャリアに関するアンケート調査』」(2024年)※3 株式会社パーソル総合研究所「働く10,000人の成長実態調査/シニア就業者の意識・行動の変化と活躍促進のヒント」(2023年)※4 株式会社リクルートリクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査」(2021年)
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