エルダー2025年1月号
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エルダー29新春特別企画②「令和6□年度 高年齢者活躍企業フォーラム」トークセッションかし、力を発揮できる職場環境づくりに力を入れています。また、高齢社員と若手社員とのペア就労を行っており、高齢社員が指導役をになうことで若手社員から尊敬されたり、感謝されたりと、よい関係性が築けており、モチベーションにつながっているような気がします。内田 続いて、株式会社ドリームさん、お願いします。堀内 警備会社は全国に約1万600社あり、約58万5000人が働いています。そのなかで縁あって当社に入社したからには、高齢であっても長く、楽しんで働いてほしいと願っています。そのためにも当社では、“居場所や人間関係をつくる場所”と思ってもらえるよう、現場から帰ってきた社員とのコミュニケーションをていねいに行うなど、意識的に取り組んでいます。高齢社員ならではの技能を活かす職場づくりと課題前川 高齢社員ならではの技術や技能を活かす職場づくりについて、工夫や苦労していることがあればお聞かせください。植松 建設業では建設機械などのICT化が進む一方で、細かい仕事には人の手が欠かせません。そういった際に頼りになるのがベテランの高齢社員です。経験もあり、効率よく仕事を成し遂げる術を自分で考えることができます。このように高齢社員がその力を活かせるような職場づくりを心がけています。久郷 造園工事業は建設業における専門工事業の一つですが、ほかの専門工事業と比べると多工種です。小さい工事が多く、そのすべての技術・技能を習得するまでには、ものすごく時間がかかるわけです。そこで、経験と知識に裏づけされた技能・技術を持つ高齢社員の存在が非常に大切になります。技術・技能を若い社員に教えることのできる機会をつくっていくことが重要ではないかと思います。堀内 高齢者が警備員になる場合、特に技術は必要ありません。当社が求めているのは、常識や責任感、長年の職業人生のなかでつちかってきた忍耐力です。これらが、じつはとても大きな宝なのです。高齢者が備えているコモンセンスといったものが警備業の技能ではないかと思っています。前川 ありがとうございます。とてもよいお話が聞けました。一方で、環境の変化が激しいなか、高齢社員の活躍について課題もあると思いますが、どんな課題にどのように対応されているのでしょうか。植松 環境の変化にもいろいろありますが、特に当社では昨今の自然環境の変化が大きなネックになっています。年々、夏の暑さが増していくなか、特に高齢社員の働き方に配慮しながら、健康第一で仕事ができる環境の整備に努めています。また、仕事でスマートフォンやタブレットを使う機会が増えていますが、60~70代の高齢社員の場合、最初から触れたくないという社員もいて、そういったことへの対応が課題になっています。井上 暑さへの具体的な対策としては、6~9月の4カ月間は熱中症対策費を給与とは別に支給しています。デジタル化への対応では、若手社員とペアになることで、高齢社員と若手社員それぞれが苦手なことを相互にフォローしてもらうようにしています。久郷 やはりパソコンやタブレットなどの扱いを苦手とする高齢社員は多く、植松建設さんと同じように若手から逆に教えてもらうようにしています。また、新しい情報や知識、技能の研修など、若手と一緒に学ぶ機会をできるだけつくるようにしています。堀内 警備員は、配属される現場が日々変わるため、連絡手段として、スマートフォンのアプリを活用しています。最初から使いこなせる人はいないので、くり返し教えて、間違えながらも覚えてもらいます。実際に使いこなせるようになるとうれしいようです。新しいことができ

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