エルダー2025年1月号
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2025.130るということは、年齢にかかわらずうれしいことなのだと思いました。前川 デジタル化への対応は、みなさん共通して苦労されているようですが、若手と組んで教えてもらうということが、つながりのなかで自己承認にもなっているというところが新しい発見です。内田 「ドローンを飛ばせるのは若手社員だが、ドローンが撮った映像を分析できるのは高齢社員だ」という話を聞いたことがあります。そこで、若手社員が高齢社員にドローンの操作方法を、高齢社員が若手社員に分析方法を教えるのだそうです。お互いの強みを教え合うということが大事なんだろうという気がします。処遇の維持・改善、仕事に対する評価、納得性について内田 続いて、高齢社員の処遇の維持・改善や、仕事についての評価、それに対する納得性を高める取組みについてお聞かせください。植松 基本的に年齢や性別、国籍などにかかわりなく、当社に勤めている者は同じ基準で処遇を決めています。そこは、社員も納得しているだろうと思っています。久郷 当社は、60歳以降でも昇給できる仕組みを導入しています。体力や能力は、年齢ではなく個人によって異なるものなので、会社への貢献度によって個別に評価しています。堀内 先ほどもお話しした通り、警備という仕事は、明日は違う現場に行く、ということも多い。ですので、それぞれ働いた現場で「よかったよ、ありがとう」といわれると、とても活き活きしてきます。そういったそれぞれの社員の評判を、会社でも把握に努めて、評価・賃金にフィードバックしています。もちろん、公平性が保てるように気をつけているところです。前川 賃金や賞与などの処遇はもちろん大切なことですが、それ以外のインセンティブや報酬などについて教えてください。植松 全社員に対して1年間のご褒美という意味で、誕生月に地元産の佐賀牛をプレゼントしたり、隣町の嬉うれし野の温泉の入浴券を配布しているほか、永年勤続表彰などを行っています。久郷 高齢社員を含む全社員を対象に、年2回企業プロフィール株式会社 植松建設〈佐賀県鹿島市〉◎創業 1933(昭和8)年◎業種 総合工事業(土木工事、建設工事、とび、土工工事、舗装工事)◎従業員数 40人(2024年4月1日現在)◎特徴的な高齢者雇用の取組み2022(令和4)年に定年制を廃止。個々の体力や健康状態に配慮した勤務制度を構築した。社長と年1回面談を実施し、高齢社員の思いや願いを聞いている。昇給は、年齢にかかわりなく評価に応じて行っている。高齢社員には、若手への技能伝承の役割も期待している。株式会社 久郷一樹園〈富山県富山市〉◎創業 1875(明治8)年◎業種 総合工事業(造園緑化工事・土木工事)◎従業員数 25人(2024年4月1日現在)◎特徴的な高齢者雇用の取組み2019(令和元)年に定年制を廃止。年齢にかかわらず昇給できる賃金体系を導入した。技術の伝承と業務に必要な感性の引継ぎのために、高齢社員と若手社員の同行作業を推進している。機械化を進めて作業効率の高い機械を導入し、作業負担の軽減に努めている。株式会社 ドリーム〈静岡県浜松市〉◎創業 1998(平成10)年◎業種 その他の事業サービス業(警備保障業、福祉事業)◎従業員数 74人(2024年4月1日現在)◎特徴的な高齢者雇用の取組み2022(令和4)年に定年70歳、希望者全員75歳まで継続雇用、その後も運用により希望者全員が働ける制度とした。高齢社員の健康状況や個々の要望などに合わせて、勤務時間の変更が可能。年齢にかかわらず昇給につながる「キャリアパス制度」も導入している。★3社の詳しい取組み内容は、本誌2024年10月号「特集」に掲載しています。JEEDホームページでもご覧になれます。https://www.jeed.go.jp/elderly/data/elder/book/elder_202410/index.html#page=8株式会社FeelWorks代表取締役の前川孝雄氏

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