エルダー31新春特別企画② 「令和6□年度 高年齢者活躍企業フォーラム」トークセッションき続けられる大きな要素なんだろうとあらためて感じました。強みを発揮しながら無理なく働いてもらうために内田 高齢になると体力が落ちてきたり、疲れが出やすくなったりといったことがあると思います。高齢社員に強みをいつまでも発揮してもらう工夫、あるいは、無理なく働いてもらうための仕組みについてお聞かせください。井上 腰痛予防や身体負荷の軽減を目的に、アシストスーツの導入を進めています。また、高齢社員からの要望をふまえ、現場で使えるコードレス機器を導入したところ、現場からは「よかった」という声があがっています。コードレスなら、発電機とそれをつなぐためのコードリールも不要になるので、コードに足が引っかかって転倒すの賞与のほか、臨時ボーナスを支給しています。会社への貢献度を私が評価して、本人に説明をしたうえで支給します。これが、社員の会社への理解とモチベーションの向上に影響していると感じています。堀内 社員の誕生日には、ケーキとお弁当を用意して、みんなでお祝いをします。「この年になるまで、こんなことをしてもらったことがない」と感動する社員もおり、よい風土・文化であると感じています。また、アニバーサル休暇制度があり、本来は自己申請により休暇を取得するものなのですが、高齢社員はなかなか申請がしづらいようで、事務員が「○○さん、来月お誕生日ですよね。休暇の申請をしますか?」という具合に声をかけています。こうしたやり取りも、社員にとっては励みになっていると思いますし、居心地のよさにつながっているのではないかと感じています。前川 人として尊重されるということと、会社が自分の大切な居場所になっているということが大事なんだということを感じますね。内田 人はお金だけで動くわけではなく、むしろお金以外の、例えば感謝される、頼りにされる、といったことが大きな力になるということですね。3社の工夫を聞いていて、そういうことが人を奮い立たせたり、いくつになっても働るリスクも防げます。コストはかかりますが、そういうところは積極的に改善しています。植松 少し話はずれますが、当社の高齢社員の場合、奥さまと2人暮らしという家庭が多いのです。仕事で日曜に出勤してもらうこともあるので、奥さまに負担をかけないよう、日曜出勤の際は会社で昼ご飯を出すようにしています。久郷 現場で発生する高齢社員のトラブルを検証してみると、自分の能力を過信しているケースがあるので、まずは体力の低下などについて自覚が必要なことを研修会などでくり返し伝えています。そのうえで、例えば、トラックの荷台から落ちて骨折するといった労働災害を防止するために、すべてのトラックにはしごを設置し、上り下りしやすくするなどの改善を行っています。また、身体負荷の高い危険な作業は若手社員が行うというルールをつくりました。堀内 無理なく働いてもらうという意味では、短時間の仕事をなるべく高齢社員に任す、自宅から配属先までの距離に配慮する、複数の社員が配属されている現場では、ほかの社員の車に同乗する、といった配慮を柔軟に行っています。こうしたことができるのも、配属先を管理している担当者が、個々の社員の特性をよく理解しているからです。同時に、「高齢だからあの人たちだけ優先されている」などの不満が生じな株式会社植松建設代表取締役の植松信安氏(右)と総務課の井上浩幸氏(左)
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