2025.132力も能力も貢献度もすべて違うので、一人ひとりをみて、適正に評価をしていくことがもっとも大切なことだと思います。堀内 会社の理念や目ざしている方向性について、年齢にかぎらず、何度も地道に伝えていくことが大事だと思っています。 そして、やはり健康で長く働いてもらい、そのなかで幸せを追求できるよう、一緒に考えていきたいという思いで仕事をしています。当社では、社員がそれぞれ持っている夢をかなえられるよう支援を行っています。最初は“夢”をたずねても、何も出てこないのですが、やりたかったことや課題などを考えてもらいながら、仕事と並行して、夢を探してかなえてもらう。それが当社の目的でもあります。そんな取組みがあることも提言できればと思います。内田 ありがとうございます。前川さんからも、3社の事例やお話をふまえて、エールをいただけますか。前川 みなさんのお話を聞いていて、やはり“人を大切にする”ということの重要性をあらためて感じました。特に、“一人ひとりをきちんとみる”、これがとても大事なのだと思います。法律上の高齢者雇用は一律のルールになっていますが、実際の社員は一人ひとり違います。会社は一律ではなく、個々を見ていく、これがとした。高齢社員だけではなく、若手社員も含めて考えていくことを重視すべきなのだとあらためて感じました。これから高齢者雇用を進める企業・団体へのアドバイス内田 高齢者雇用を進めようと考えつつも、とまどいを感じている企業もあると思います。そうした企業に向けてアドバイスをお願いします。植松 当社ではダイバーシティを推進し、高齢社員にかぎらず、だれもが働きやすい職場環境づくりに努めています。それぞれにできること、できないことがあります。しかし、わが社に、地域に、この世の中にとってみんな必要な存在です。そのことをわかってもらう、それがまず大事だろうと思いながら、当社では取組みを進めています。井上 私は経営者のリーダーシップの重要性を強く感じています。経営者が働く者の声を聞く耳を持ち、仕事を任せる懐の広さ、そして最後に決断する勇気を示す。当社もまだ取組みを始めたばかりですが、「もっとできる」という可能性を感じています。久郷 私自身の取組みの反省なのですが、「高齢者」としてひとくくりにするのではなく、体いような社風を築いていくことも大切だと思っています。前川 みなさんのお話に共通しているのが、若手社員など、ほかの社員を巻き込んで役割分担をしているということです。それが無理なく働ける仕組みであり、互いの尊重にもつながっている、という好循環になっているということですね。内田 以前に取材した会社では、高齢社員は経験があるだけに、「いままで通りにできるはずだ」、「もう少しやっておこうかな」と、どうしても無理をしがちで、そういうことが労働災害につながることもあるそうです。しかしそこで若手社員が、「もうやめておきましょう」と強制的に終了させる。若手社員にはその役割があり、そのためのペア就労なのだそうです。この話を、みなさんのお話を聞きながら思い出しま株式会社久郷一樹園 代表取締役の久郷愼治氏
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