エルダー2025年1月号
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エルダー33新春特別企画② 「令和6□年度 高年齢者活躍企業フォーラム」トークセッションても大切であることをあらためて学びました。 また、会社の理念や目的のお話がありましたが、この理念こそ、私はとても大事なものだと思っています。「VブーカUCA」※という言葉も聞かれるこの混迷の時代、この先何がどう変わっていくかもわからない時代です。そのなかで「うちの会社はこういうことを成し遂げたい」と掲げ、そこに共感する人たちが集まってくるのが会社だと思います。理念を経営者が語り、集まった一人ひとりが持ち味を活かしてつながっていくと、すごくよい会社になると思います。企業の究極の目的は単年度の収益ではなく、長く社会に貢献し続けることだと思うのですが、理念を掲げることが、そこにもつながっていくのではないかと思います。 現在60歳、65歳くらいの方々は、元気な方が多いのですが、「自分が何をしたらよいのかわからない」、「世の中にどう貢献できるのか」、「体力も気力もあるような気はするけれど自分の持ち味がピンときていない」と感じている方々がたくさんいるように見受けられます。力を持てあましたままリタイアしてしまうのは、すごくもったいないことです。そうしたなかで、本日の3社のみなさまの取組みは、これからのロールモデルになると思いますし、そうした会社が世の中にもっと増えて、元気で能力のある人たちが活躍できるステージをつくっていただけると、日本全体が活性化し、希望にもなっていきます。そして、若い人たちの将来の希望にもつながっていくのではないか、そんなことを感じました。内田 ありがとうございました。「高年齢者活躍企業コンテスト」で表彰される企業のみなさんから、毎年いろいろなお話をうかがいますが、やはり人を大切にしていることがどの企業・団体からも感じられます。もちろん高齢社員だけではなく、すべての社員に対してです。そうした経営者の思いが姿勢としてあらわれ、最終的に企業の長期的な存続と成長につながっていくのだと思います。 一方で、何歳になっても同じ仕事ができるという人ばかりではなく、ガクッと体力が落ちる人もいます。そういった方々にいままで通り強みを発揮してもらうためには、弱みを補うような仕組みが必要になります。勤務日数や仕事の負担を変えるなど、手間をかけてメニューを用意しなくてはいけないこともあります。しかし、手段がないわけではありませんし、それを行うことによって、会社の期待に応えて高齢社員ががんばり、その姿を見た若手・中堅社員は自分たちの将来に希望が持てる。それが企業の長期的成長につながるのだろうと思います。 ただ、注意していただきたいことが一つあります。一人ひとりの状況が違うからといって、規則・制度を設けずに、運用で進めるという選択をする会社も少なくないのですが、私はやはり、就業規則などに明記される必要があると考えています。「これをやりさえすればこうなれる」、「こうなるためにはこうすればよい」ということが明確で、みんなにわかることが重要です。ルールが曖昧なままでは、社員に不安が生じて働く意欲にも影響を及ぼす可能性もあります。運用ではなく規則に則っていること、そして課題や悩みごとが生じた際には、社員と経営者・管理職とがしっかりとコミュニケーションをとれる環境も大事になると思います。本日の3社のお話やお考えは、他企業のみなさんにとってもおおいに参考になると思います。 本日はありがとうございました。株式会社ドリーム 顧問の堀内善弘氏※VUCA…… 「Volatility(変動性)」、「Uncertainty(不確実性)」、「Complexity(複雑性)」、「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとった言葉で、先行が不透明で、 将来の予測が困難な時代であること

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