エルダー2025年1月号
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2025.12伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 執行役員 経営企画グループ 人事総務本部 本部長奥村弘幸さんます。当社の社員数は約5500人、定年を迎える社員は1年で70~80人程で、毎年徐々に増えており、10年後には150~200人になることが見込まれています。これだけ人数のインパクトがある以上、会社としても年齢に関係なく、個々の力を発揮してもらい、充実した生活を送ってほしいという思いがあります。 また、根底にダイバーシティを大切にするという当社の理念があります。ダイバーシティ基本方針に「年齢、性別、性自認や性的指向、国籍、障がいの有無等に関わらず、すべての社員を尊重し、ダイバーシティの浸透を図る」ことを掲げ、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)に積極的に取り組んでいます。IT業界は特にエンジニアの不足が深刻化していますが、加えてITの世界は新しい発想などイノベーションが非常に重要です。若手をはじめとするさ―貴社では、2024(令和6)年4月に、定年後の再雇用制度の見直しを行い、新たに「嘱託再雇用制度」を導入されました。従来の再雇用制度との違いを含めて、制度見直しの背景と目的について教えてください。奥村 当社で60歳定年後の再雇用制度を設けたのは2006(平成18)年ですが、それから20年近くが経過しています。当初は対象となる社員も少なく、処遇は60歳定年前の半分程度で、現役社員の補助的な業務や後進の指導・育成といった役割が期待されていました。処遇についてはその後、何度か見直しを行い、一般社員だった人は年収の約7割、管理職だった人は約6割の水準まで引き上げました。今回の制度改定はさらに改善を進め、現役社員と同様の活躍を期待する社員には、役割や評価に応じて同水準の給与を支払う、というものです。その背景には60歳以上の社員の増加がありまざまな世代のなかにシニアが混じり、活発な意見を交わすことで新しい発想に結びつけたいという期待もあります。一方で、1年前の2023年度から全社員を対象とする人事処遇制度を大きく変更したことも、再雇用制度見直しの背景の一つでした。当社では、2000年初頭に年功序列型処遇制度を廃止し、年齢を問わず等級ごとに求められる役割のレベルに応じて給与を支払う役割等級制度を導入しています。さらに一歩進めて、スペシャリスト職については、等給決定の仕組みにジョブ型の要素を取り入れ、多様な役割に応じた処遇を実現するとともに、若手社員の飛び級を可能とするなど、個人の実力に応じて活躍できる制度としました。一般社員の主任より上は、課長・部長などの「ラインマネージャー職」と「スペシャリスト職」の二つのコースに分かれ、給与はいずれも同水準です。スペシャリスト職はエンジニア、営業、職能(管理部門)ごとに4等級があり、それぞれ経営への影響度、専門性の発揮、革新性などの役割定義に基づいて毎年点数評価し、役割スコアリングで等級を決定します。また、個々人に期待する役割の内さまざまな世代とシニアが協業することでイノベーションが起こることに期待

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