2025.138働いているお二人にお話をうかがいました。みんなが尊重し合う職場大塚ひとみさん(58歳)は、同社に勤めて25年になります。おもに病院で使用されるリネン類の乾燥・仕上げ、出荷作業を担当する部署で、20年ほど前から班長を務めています。次々に運ばれるクリーニング後のリネンをたたむ作業を行いながら、班長として進捗状況の確認、出荷作業(伝票整理)、営業担当との打合せ、部署内にかかってくる電話にも対応します。週5日、9時から17時10分(または18時10分)までのフルタイム勤務を続けています。場内の照明のLED化と、スピードの必要な作業や力のいる作業を機械化し、作業者の負荷軽減を図り、熟練度が必要な作業に集中できるようにしました。例えば、洗濯・脱水後のシーツは、数十枚ごとのかたまりの状態で、仕上げ作業場に運搬し、そのかたまりから1枚ずつシーツを引き抜いて、広げた状態で仕上げ機械にセットします。この作業は力がいるうえ、かがむこともあって負担が大きいことから、「シーツ引抜機」を導入しました。かたまりのシーツがこの機械を通ると、1枚ずつにほぐれ、仕上げ機械にセットする作業負担が大きく軽減しました。今回この機械を見学した児島プランナーは、「すばらしい取組みだと思います。また、制度面も70歳までの継続雇用を実現するなど、着実に取組みを進めており、高齢者と障害者の雇用における、県内屈指の先進企業といえるでしょう」と取組みを称賛しました。また柴﨑専務は、障害のある若手社員と高齢社員がペアで作業をすることで、「高齢社員がていねいに、ときにはくり返しながら指導を行っています。一方で障害のある若手社員は、力のいる作業を担当するようになりました。お互いに補完し合いながら作業ができていて、ペアを組むことで相乗効果があることに気がつきました」と話します。今回は、障害のある社員を指導しながら一緒に持つ社員が数人いて、それぞれが力を発揮できるよう指導を行っており、職場環境の向上などに努めています※2。希望者全員70歳まで継続雇用高齢社員の活用について柴﨑専務は、「当社にとって欠かせない存在です。定年は60歳ですが、その後も働ける方には時間や環境を考慮したうえで働く場と仕事を提供します。2024(令和6)年2月に就業規則を変更し、65歳までだった継続雇用制度を、70歳まで延長しました」と最近の取組みを説明します。なお、70歳以降も運用により働き続けることが可能となっています。また、障害者雇用の取組みの一環としてスタートした、短日・短時間勤務制度を高齢社員にも適用するなど、自分のペースで働ける環境を整えています。児島プランナーが同社を初めて訪問したのは、2019年のこと。「高齢者雇用に注力されていることは知っていましたが、当時、企業内において取り組むべき課題と方向性を整理するために、JEEDの『企業診断システム』を活用し、その結果をふまえて、高齢社員の作業負担を軽減する職場環境の改善などについて、お話ししました」と5年前をふり返ります。このときのアドバイスもふまえて、同社では工周囲に気を配りながら、てきぱきとリネンのたたみ業務を進めていく大塚ひとみさん(左)※2 「令和5年度障害者雇用優良事業所厚生労働大臣表彰」を受けました。https://www.jeed.go.jp/location/shibu/gunma/om5ru80000003na0-att/q2k4vk000003bt6a.pdf
元のページ ../index.html#40