エルダー2025年1月号
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エルダー39一緒に働くのは、障害のある社員と外国籍の社員で、大塚さんは一人ひとりに適した指示の出し方や身ぶりを含む接し方でみんなをリードし、まとめています。障害者職業生活相談員の資格を持ち、障害のある社員の相談に応じることもあります。「大事にしているのは、コミュニケーションです。お客さまにリネンを気持ちよく使っていただけるように、着実に出荷することが私たちの使命。班長として役割が果たせているのは、みんなの協力があるからです。毎日たいへんですが、感謝の気持ちを持って働いています」(大塚さん)今後については、「後進を育てることが大事だと会社にもお話ししています。後進が育ち、作業だけに専念できるようになったら、ずっと働き続けたいと思います」と話してくれました。柴﨑専務は、大塚さんについて「職場を少しでもよくしていこうと、現場の様子を伝えてくれたり、意見をくれたりする大切な社員です。懐が深く、障害のある社員にとってはお母さんのような存在ではないでしょうか」と語り、信頼を寄せています。柴しば﨑さき清せい吾ごさん(70歳)は、ハローワークで栄久の求人を知り、59歳のときに入社。勤続10年になります。生産部に所属し、洗濯と仕分け作業を担当。おもにユニフォームやタオル類、病院の毛布やマットレスなどの製品を扱っています。前職でホームクリーニングの仕事を手がけていて、当時からクリーニング師の資格を有しています。現在の仕事はホームクリーニングとは内容が異なるものの、多様な製品を扱うなかで繊維や状態に合わせた染み抜きなどを行う際、つちかった知識と経験が役立っているそうです。現在の仕事で心がけているのは、「一つひとつの作業を確実に行うことと、報告・連絡・相談を中心とする社内でのコミュニケーションです。この仕事を通じて、少しでも社会に奉仕することができればという気持ちで取り組んでいます」と柔らかな表情で話す柴﨑さん。前職と仕事内容が違ったこともあり、入社直後は続けられるか不安があったそうですが、「12歳年上の先輩の働きぶりに刺激を受けて、もう1週間、もう1カ月がんばろうと思い、気がついたら仕事に慣れることができていました。先輩は昨年退職されましたが、見習って、私も80歳過ぎまで元気に働き続けることが目標です」と笑顔で語ります。柴﨑専務は、「柴﨑さんはやさしい人柄で、障害のある社員も安心してついていっています。力のいる仕事は若い人が代わりにやるという、よい関係ができているようです」と働きぶりを称えます。児島プランナーは、同社の取組みと高齢社員の活躍について、「高齢社員にとって働きやすい職場は、若手にとっても安心して働ける職場であり、これからの人材確保という点でもとても大事なことだと思います」と高く評価しており、今後も引き続き支援を行っていくことを話していました。柴﨑専務は、「年齢や障害にかかわらず、みんなが長く働ける職場をこれからも目ざします。結果的にそのことが会社のためになり、社員の健康や体力づくり、生きがいになると考えています。職場環境向上に向けて、小さなことから一つずつ取り組んでいきます」と語ってくれました。多様な人材が個々の持ち味を発揮し、一人ひとりにとって働きがいのある職場に向け、同社の進化はこれからも続きます。(取材・増山美智子)軽やかな身のこなしでクリーニング後のマットレスを出荷場所へ運ぶ柴﨑清吾さん

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