エルダー2025年1月号
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エルダー43転倒時の生体への傷害の程度に影響を与える要素が含まれます。また、転倒災害のリスク要因の影響度は、加齢によって変化してきます(図表2)。20~30代では外的要因の割合が高く、40代以降になると徐々に内的要因の割合が増加し始めます。さらに50代以降になると、内的要因のなかでも疾病・機能低下の割合が増加する傾向が見られます。この年齢によるリスク要因の変化は、高齢労働者の転倒災害対策を考えるうえで重要な視点となります。転倒リスクと加齢にともなう転倒リスクと加齢にともなう運動機能の変化運動機能の変化3加齢にともなう運動機能の低下は転倒リスクと密接に関連しています。労働者の運動能力は、静的バランス機能を示す閉眼片足立ちでは、20代前半と比較して50~54歳で約50%、60~64歳で約30%という著しい低下を示します(図表3)。また開眼片足立ちでも50~54歳で約80%、60~64歳で約70%まで低下します。さらに、敏捷性は55~59歳で約70%まで低下することが示されています。特に50歳以降の静的バランス、敏捷性の機能低下は、身体のふらつき感や作業中に危険に遭遇した際の回避能力低下につながり、転倒災害の重要なリスク要因となると考えられ図表1 転倒災害の要因と転倒発生時のフロー図表2 加齢にともなう転倒リスク(内的・外的要因)の影響度※ 永田久雄『「転び」事故の予防科学』(労働調査会)より一部改変し筆者作成※ 永田久雄『「転び」事故の予防科学』(労働調査会)より一部改変し筆者作成要因割合(%)年齢20歳60歳40歳外的要因安全領域内的要因健康領域社会管理的要因障害増幅要因内的要因外的要因運動機能認知機能視覚機能身体・精神的疾患服薬状況 など床面摩擦・凹凸、段差、手すり、照明、通路幅 など整理・整頓、焦り・規則違反、職場風土 など身体強度・耐性、回避能力(敏捷性)、骨強度、内臓体制などすべり(路面)踏み外し(階段)転倒災害発生つまずき(段差)内的要因疾病・機能低下ロコモサルコペニアフレイル身体機能身体機能のの変化変化安全・健康対策安全・健康対策とと加齢 による

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