エルダー2025年1月号
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エルダー7特集65歳以降も働ける職場のつくり方労働力確保にはシニア活用の労働力確保にはシニア活用の検討は避けては通れない検討は避けては通れない1現在、多くの企業では、労働力不足が問題となっています。労働力不足に対応し安定的・継続的に業務を遂行するには、労働力を増やす、あるいは業務効率を上げる方法を採ることになります。労働力を増やすためには、新卒・経験者の積極採用やシニア社員の活用などがあげられます。業務効率を上げるためには、業務システム導入による自動化や一部業務をアウトソース(外部委託)することなどが考えられます。労働力不足の解消のためには、前述施策のいずれか一つに集中して着手するだけでは足りず、幅広い施策を自社に適した形で実施することが重要です。今回はシニア社員、特に65歳以降の社員(以下、「シニア社員」)の活躍のために、どのような業務をになってもらうかの検討方法について考えていきます。シニア社員の労働力人口比率はシニア社員の労働力人口比率は高まっているものの懸念点もある高まっているものの懸念点もある2シニア社員の労働力人口比率は高まっています。図表1の通り、人口に占める労働力人口を示す労働力人口比率は、「65〜69歳」、「70〜74歳」、「75歳以上」の年齢区分で直近10年間、増加し続けています。その一方で、シニア社員の勤務にあたっては、懸念される事項もあります。身体の衰えは年齢を重ねることで発生しやすくなり、図表2の通り、約2割は階段を上ることやいすから立ち上がるといった日常的な動作に支障をきたしています。加えて、認知機能も衰えやすくなり、約1割の方が請求書の支払いや預貯金の出し入れを自力でできないといった回答をしています。実際にシニア社員に戦力として働いてもらうには、これらの身体・認知機能の状態に寄り添った業務・役割の付与や就業環境整備が重要となります。シニア社員個人の視点から見たシニア社員個人の視点から見た業務の変化業務の変化3シニア社員個人の視点からは、質・量の双方の視点で「①現役並み」、「②現役から一部軽減」、「③現役から大幅軽減」の3パターン程度※1を設け、これらからシニア社員自身が選べる状態が望ましいでしょう。質の観点からいえば、部長として部のマネジメント(業績・人材管理)をになっていた方が実力を保持している場合を対象に考えます。「②現役から一部軽減」の場合、新たな部長の補佐※1 一般的には50〜60歳の間の役職定年などにより、現役よりも業務の質を軽減することがあります。しかし、今回はより幅広にシニアの業務を考える観点から、役職定年を行わない前提としています(役職定年の導入企業においては、マネジメント経験者の「①現役並み」の選択肢を除いてご検討ください)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 HR第1部 コンサルタント 友とも野の雅まさ樹き6565歳以降(シニア)社員の業務・役割の歳以降(シニア)社員の業務・役割の創出と環境改善のポイント創出と環境改善のポイント総 論総 論

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