永続的かつ公平性をコンセプトにシンプルな退職金・年金制度を構築ング」、「財務・経理」などの職域があり、この一つひとつをジョブファミリーと呼んでいます。社員が専門性やキャリアを高めていくための軸を定めて、縦軸方向で育成を行っていきます。この縦軸は、グレード(等級)に分かれており、一般社員から管理職まで約10段階のグレードを定め、より高い役割を目ざせるようになっています。新卒採用の際にも、ジョブファミリーを明示して採用を行っており、その後も基本的にはジョブファミリーのなかで異動・育成を行います。もちろん、ジョブファミリーを越えた横の異動の機会もあります。次に「JD」について説明します。本人に求める職務、そのポジションに求める職責を定義するもので、通常、JDは1ポジション一つです。ただ、今回の改訂から対象となった一般社員については人数・ポジション数が多く、管理が煩雑になってしまうことから、グループ・課、もしくはジョブファミリーの一階層下のサブジョブファミリー単位で作成し、ある程度管理しやすい形にしています。また、一般社員のJDについては、グレードごとにどれくらいの職務レベルが求められるのかを定めており、グループ・課もしくはサブジョブファミリーにおける成果責任や職務、職責などについて、全社共通のグレードごとの役割定義に基づき文言を作成する運用をしています。職務・職責を遂行するためには、どういった専門性が求められるかを定めたものが「ファンクションコンピテンシー(専門知識・技能)」です。自分がどんなスキル・専門性を強化していけば上位グレードの業務・役割がになえるのかを、見える化したものです。報酬水準については、グレードごとに報酬の上限と下限を定め、そのちょうど中間を競合他社とベンチマークするようにし、競合他社に対して一定の競争力を担保する水準に設定しています。中間からプラスマイナス20%で報酬レンジを決定する形をとっています。最後に、退職金と年金制度について説明します。将来にわたって、退職金あるいは年金を支給できるように、制度のサステナビリティを高めるというコンセプトで改定を行いました。入社から定年まで勤めた場合をモデルに、一時金水準を維持する形で考えており、在職時、働いた間の貢献に応じて積み上がっていくことで公平性を担保します。以前の制度は確定拠出年金、確定給付年金、退職一時金、特別退職金があり、非常に複雑だったのですが、その時々の貢献に応じて給与の一定割合が確定拠出・確定給付として積み上がる制度に変更するとともに、自己都合退職の場合に減額となる仕組みの廃止、終身年金から有期年金への変更などを行いました。ミュニケーションが重要となりますが、社員一人ひとりに対してだけではなく、上司によるマネジメントも大切です。マネジメント層を対象に、定期的にマネージャーワークショップを行い、新制度のポイント解説や制度の運用にあたって生じる悩みの解消などにも努めています。まだまだ改善の余地はありますが、特に制度のシンプル化が、非常に重要だと考えています。制度が複雑だと社員に伝わりにくいということと、運用においても大きな負担となるので、シンプルにすることは大切だと思います。新しい制度を導入するうえでは、社員とのコ2025.212★ 「令和6年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム」事例発表(株式会社資生堂)は、JEEDのYouTube公式チャンネルでアーカイブ配信しています。 こちらから、ご覧いただけます。https://www.youtube.com/watch?v=OMP9rcRr2OE
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