エルダー2025年2月号
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ill-Can-(Workday、リスキル、タレントビューなど)すイノベーションが生まれるような組織、文化と人財を育成するために、従来の「推して知るべし」のような日本特有の企業文化を転換する契機として、ジョブ型人財マネジメントを要に据え、現在、推進しているところです。ジョブ型によって私たちが目ざすのは、組織・個人双方の成長、成長マインド文化の醸成です。会社は組織を見える化し、魅力ある職務、成長機会を個人に提供し、本人は職務に応じた価値発揮、あるいは自律的キャリアを構築していく。そして会社と個人の双方のコミュニケーションにより、適所適材を実現することによって、組織・個人双方の成長を図っていこうというものです。この転換を進めるため、2013年から2021(令和3)年までの最初の取組みとして、職務の見える化(ジョブディスクリプション〈以下、「JD」〉導入など)、人財の見える化を行い、それらをコミュニケーション(1on1ミーティング、セルフキャリアチェックなど)で連動させることで総合的に展開しました。それぞれの施策についていくつか紹介します。職務の見える化=JDの作成については、まず標準JDを全職種450種類用意しました。そこに職務概要、求められる能力、期待行動などを記載しており、全従業員がすべてのポジションを閲覧することができます。次に、人財の見える化については、それまで複数のシステムや紙の書類に点在していた人財マネジメントに関する情報を一つのプラットフォームに統合し、それぞれに閲覧権限を与えて、権限者がデータを見られるようにしました。次にコミュニケーションですが、これは、なぜ当社がジョブ型を目ざすのか、ジョブ型に転換するとマネージャーの役割はどうなるのか、かなりの時間と回数をかけて、経営層、管理職・一般従業員を含めた全階層で双方向のコミュニケーションを行ってきました。また、会社からの情報として、eラーニングの実施によって、よりジョブ型に対する意識を高めるような情報を現在も発信しています。もちろん、労使の春季交渉および各種委員会においても、ジョブ型による多様な人財の活躍支援策について、継続的に議論を重ねてきました。ジョブ型推進の議論のなかでは、例えば「日本の企業が持っているチームワークやロイヤリティなど、いままで大切にしてきたものを、ジョブ型によって失うのではないか」という意見も多くありました。しかし、これら一つひとつがじつはステレオタイプ的な理解で、思い込みに過ぎないということを、ていねいな説明を重ね、Must、自分のその払拭に努めてきました。を行ったのですが、自分のキャリアを自分でつくることの必要性に対する理解は87%と肯定的な意見が大半を占めています。また、自分のスキルを高めるための行動をしている人は2022年度からの1年で43%から53%に増加しました。ただ、行動の習慣化ができている人はまだ目ざすところには至っていない状況です。援に力を入れており、それぞれの従業員が自ら行動して、その行動変容の具体化、習慣化をねらった対策を進めています。自律的なキャリア形成については、キャリア研修などを通して、入社した時点からWキャリアは自分で考えていくような意識づけを図っています。将来的には、ジョブ型人財マネジメントをさらに深化させ、仕事・役割基軸での人財配置・処遇運用の徹底を図っていきたいと考えています。当社の従業員を対象にジョブ型に関する調査2022年以降は、自律的キャリア形成の支2025.21416%にとどまっているので、まだまだ私たちが

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