エルダー2025年2月号
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ブ型に向かう目的をしっかり説明していくことが大切だと思います。今野 この「コミュニケーション」について、資生堂ではどんなことに取り組んだのでしょうか。谷 いまふり返ってみると、まず役員層、そのあと部長層、課長層というように、徐々に制度を浸透させていき、最後に社員コミュニケーションを行い、一足飛びではない経緯があったように思います。また、実際に制度がスタートし、運用が始まると、現場の課長がマネジメントを行う際に、必ず悩みが生じてきます。例えば目標設定において、制度導入にともない初めて作成したJDが目の前にあって、「目標の考え方はどうすればよいのだろうか」とつまずくことがあります。そういった悩みをしっかり拾い上げて、制度導入当初は四半期に一回、その後、マネージャーが新制度に慣れてくると半期に一回と頻度を変えながら、定期的なマネージャーワークショップを行いました。最初は制度の説明から運用のポイントに移行していき、そこで運用におけるむずかしい要所をつかんで、徐々に運用できるようになっていきました。くり返しコミュニケーションを行いながら、改善を重ねてきました。今野 これらの点について、三菱マテリアルではどのような取組みをされたのでしょうか。2022(令和4)年にスタートしたばていくことではないでしょうか。今野 ションが非常に重要であることを、みなさんが感じられているのですね。それでは逆に、ジョブ型人事を推進するうえで、「これはしてはいけない」ということはありますか。廣川 下達的な伝え方は絶対してはいけないとつねづね感じています。そうではなく、制度のねらいや実現したいこと、運用の仕方、すべてにおいてきちんとていねいに説明することと、たとえ説明に満足がいかなくても「がんばっていきましょう」と励ましたりしながら、ていねいなコミュニケーションを心がけています。神山 「メンバーシップ型」から「ジョブ型」に変わるとなると、個別支援型マネジメントが必要になります。そこは現場の管理者に任せるだけでは、なかなかついてこられないでしょう。「マネージャーになりたくない」という声も世間では聞かれていますから、ファーストラインマネージャーの役割に寄り添う形の支援ということで、想定される問題に対して解決のヒントを示したガイド本をつくりました。とにかくHR(ヒューマンリソース、人事部)が現場の課題に耳を傾け寄り添うことが大切だと考えています。谷 廣川 かりの仕組みなので、まだまだ改善が必要な状態です。制度を導入したらそこで終わりということはなく、さまざまなレイヤー、さまざまな形でくり返し社員に伝えていくことを重視しています。同じことをトップが話し、人事も話し、現場の組織長も話していく。これがあるべき姿だと思います。現場への浸透という意味では、まだまだ私たちも力不足を感じているところはありますが、重要なのは厳しい意見が出ても、やはりコミュニケーションを一生懸命とっありがとうございました。コミュニケー「制度が決まったから」といった、上位お二人の話にとても共感しました。違う視エルダー19株式会社資生堂 ピープル&カルチャー本部 変革推進グループ マネージャー谷圭一郎氏特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートⅠ〜

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