エルダー2025年2月号
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社員のマインドセットのために重要なこととは点からお話しするのであれば、複雑な制度はよくないと思います。以前の制度から移行する際に、さまざまなタイプの制度があって非常に煩雑になっていました。手当にしてもたくさんありすぎて、共通化を進めたというところがあります。受けとめる社員にとっても、建て増しの制度は、何をねらったものなのかわかりにくくなってしまいます。極力シンプルにして、制度のねらい、もしくは会社が目ざしたい方向があってこの制度設計になっているのだと、簡潔に伝えることができるような制度設計にしていくことが大切だと、旧制度から新制度に移行するなかで強く感じました。今野 ジョブ型を推進するうえで生じた課題などがあれば教えてください。神山 ジョブ型化においては、「自分のキャリアは自分でつくっていく」ことになるので、そういった文化を醸成していくことが課題だと思います。廣川 社員のマインドセットは課題の一つです。いままで年功序列、右肩上がりがあたり前で、処遇が「下がる」ということに対して、抵抗を感じている人が非常に多くいます。マインドをどう変えていくかが課題だと感じています。今野 神山さんのお話も一種のマインドセットだと考えます。キャリアは会社が決めるというマインドセットから、自分のキャリアは自分でつくるというマインドに変えようということですね。いまの廣川さんのお話は、年功的な、あるいはそういう気持ちをジョブベースに変えていく意味のマインドセットですか。廣川 そうですね。例えば、ポストオフのときに部長から部長補佐になる場合には、そこはやはり納得が得られないこともあるので、自律的キャリアを大切にしていきましょうと伝えているところです。谷 私自身が個人的に感じていることですが、日本の労働法制のなかで、ジョブ型もしくはジョブベースの制度を採っていくことがむずかしい部分もあると思っています。現行の労働法制のなかで実現するためにどうしたらよいか、社内で議論しながら運用まで含めて組み立てても、論理的にむずかしい部分もあり、それは課題でもあるのですが、ある意味やりがいでもあるかなと思います。今野 ありがとうございました。廣川さんと神山さんは比較的近いことをおっしゃったのであらためてお聞きしたいのですが、「自分のキャリアを自分でつくる」というマインドをつくる2025.220

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