ジョブ型人事管理制度はシニアが先行して導入ときに、一番重視しているのはどんなことでしょうか。廣川 重視しているのは「1on1」です。上司と部下とのコミュニケーションをしっかりととり、そのなかでキャリアに関することを話題にしてもらっています。ほかにも、「1on1とは」を議題にして研修をしたり、学習ツールをつくったりしています。また、毎年11月をキャリアを考えるキャンペーン月間にするなどの仕掛けを行い、日ごろから話をしていくことで、「もしかしたら自分はグレードが下がるかもしれない」など自分ごとに感じてもらえたり、身近に考えるようになったりします。こうしたことをもっと深めていくべきだと思っています。実際、そうしていくことによって、みなさんが徐々に腹落ちをしてきているようです。神山 当社では、2023年にグループ公募制度をリニューアルしてから、部門をまたいで異動する人が増えています。社外に求人を出す際には、必ず社内にも求人を出すというルール改正を行い、これによって社内の公募が活性化しています。手あげ式の制度など、形から変えていくのも必要だと思います。谷 上司と部下の関係性はものすごく大事だと感じています。これは労働組合が一番こだわった部分でもあります。ジョブベースの制度を導入するにあたって、部下が上司をしっかり信頼できているのであれば、給与変動をともなう昇降格があった場合に、上司が部下の育成をきちんと考えたうえで、本人の成長機会や次のチャンスなどの意図を含めた上司・部下間の双方向のコミュニケーションができるので、納得性が高くなるかもしれません。当社では、2021年の改定時にダウングレードは入れず、2年間、マネージャーワークショップを行って、環境が醸成されたところで、場合によってはダウングレードもあると追加で導入する形を取りました。最も労働組合としてこだわっていた上司・部下の関係性に関する意見は、その通りだなと思いました。信頼関係があって成り立つということを強く感じました。今野 ることがあればお聞かせください。谷 を適用する制度になっています。管理職については、グレードごとに競争力のある報酬水準をそのまま適用しています。退職金についてはいったん60歳で精算をしますが、それ以外の報酬はまったく変わりません。たところは、例えば非常に技術の高い人にそこまでの処遇が提示できず、ある程度諦めて違う形で活躍してもらっていたところ、同じジョブで活躍してもらえるようになりました。を少し下げることもありますが、レベル分けをして、段階を分けるという意味ではジョブベースになっています。段階で報酬が分かれることでむずかしくなるのは、段階に分けたジョブのどれを本人に提示するかです。本人がどんなこ当社は60歳定年以降も同じような報酬体系特に管理職に対して同じ体系をとってよかっ一方で一般社員は、付与するジョブのレベルエルダー2160歳以降の人事制度について、考えてい株式会社日立製作所 人財統括本部 人事勤労本部 ジョブ型人財マネジメント推進プロジェクト シニアプロジェクトマネージャ 神山靖基氏特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートⅠ〜
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